東京芸術史 ~作家インタビューと、現代アート情報 

東京芸術史

作家インタビューと、現代アート情報

作家たちとの会話と、現代アートをめぐる批評的?あれこれ / 東京芸術史とは?






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> 『糸で絵を描きたい』(小林さん:10/01/09)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2010/01/09) Twitterでつぶやく

koba100109.jpg

小林さん top page

※旧フランス大使館で開かれた『No Man’s Land』展鑑賞後に録音。

maki abramovic(以下M):サラさん、良かったね。イランの人。
小林さん(以下小):サラさん、良かった。サラ・ドラタバディ(*1)。
M:どう良かった? 白い部屋。
小:何だろう。
M:俺は足の裏の触感が良かった。
小:静かな感じ。作品がうるさいと駄目。
M:感覚的な作品がいいの? これがこう解釈できるとかじゃなくて、感覚的、身体的に訴えかけるもの。
小:感覚的に良いんだけど、多分すごく懐かしい感じ。ちょっと怖いし。
M:でも、すごい怖いのはいやなんでしょ?
小:(白い部屋は)怖いんだけど、入りたい感じの……。
M:それは自分が作りたいものと似てるの?
小:(サラ作品は)作品って感じじゃなかった。この人の世界って感じで。ただの白い部屋には見えなかった。私の感覚とリンクすると、他のものに見えて感動する。絵も、興味ないとただの絵にしか見えないけど、見えないものが見える絵に感動する。エアコンから風が出てた作品(*2)も、私には興味があるからただのエアコンにもただの風にも見えなくて、ほかの色んな世界が見えてくる。色んな世界が見えると、感動する。
M:目の前のものが見えちゃったら、駄目ってことでしょ。油絵が油絵の具にしか見えないとどうしようもない。
小:写真も一緒だよ。
M:(『No Man’s Land』は)良い刺激になった?
小:刺激になった。私もいろいろプロセスがあって。
M:何か決まったの?
小:そうそう、グループもやるけど、やり方を変えようと思って。一人は一人にして、グループはグループにしようと思って。jestsquipを名前をJSに変えて。JSは私と北村さんと牧田さんの3人で、3人はJSの中の一員でありつつ、JSを回すスタッフでもある。アーティストを扱っている団体に将来的にはしていきたいねって。今まではあやふやにしていて、個人のグループって言いつつグループグループしちゃってて、活動もJSで何かするって感じだったけれど、それを止めて、個人が集まったグループにしようってことになって、だから、グループじゃなくてそういう人たちが今一員に入ってますよという。将来的には企業から仲介的な役割をしていきたい。
M:プロジェクトの発注を受けたり、持ちかけたりして、アーティストでこの人が適してるみたいなマネジメントをするってこと?
小:ってことにしたの。
M:要は(JSは)中継地点で、アーティストのリストが頭に入ってて手配すると。
小:だから、私と北村さんと牧田君がまとめていくっていうのをしようと。3人で。北村さんがすごいんだよ。
M:北村さんはいいんだけど、他の2人は大丈夫?
小:大丈夫。牧田さんも変わった気がする。
M:それは面白い考えで、ずいぶん前にドキュメンタリーで見たんだけど、ニューヨークでアーティストを頻繁に訪ねて頭に入れておいて、イベントやら企業からの制作オファーがあれば、適したアーティストを選んでディレクションをするっていう人がいて。ああ、これは日本でもあったらいいなって思って探したら、ロフトワークっていう会社があってすでにやっていた。
小:ロフトワーク。
M:数千人レベルで登録されてると思う。でも、もうそこでやっているから(小林さんたちは)やらないで良いって話ではなくて、要はそこはアーティストの側から登録して、ディレクターはロフトワーク側にいて、非常にビジネス的な感じ。俺の印象だと、ビジネスの枠にどうアーティストを当てはめるかっていう感じ。別のスタンスのエージェンシーがあっていいわけだから。
小:でも、まだJSですって言っても誰も知らないし、一番始めからエージェンシー的なことをするのはやめて、とりあえず個人を売らなきゃいけないから、個人の活動をちゃんとしなきゃって話になって。そのためには発信しないとってことで、今真剣に考えている。展示会も重要だけど、色んなところに出品しないとって。
M:色んなところって何。公募展?
小:大きいイベントに、出す。
M:デザインフェスタとか?
小:デザインフェスタとかデザイナーズウィークとか。どんどん出て行かないと名前は知られない。
M:ふうん。
小:ホームページをつくるときも、名前を知られるような構成にしようって決まったの。最近ミーティングを激しく重ねてる。
M:小林さんの(個人としての)当面の目標は?
小:私がしていきたいのは、今までふらふらしてて、絵が描きたいのか洋裁がしたいのか、よく分からなかった理由があって。アートに興味があるんだけど、アートで出来上がった作品が、何て言うか、ゴミになるのが嫌だった。何て言うのかな……。
M:実用化しないのが嫌ってこと?
小:実用化しないと……。
M:売れないと、捨てちゃう?
小:捨てちゃう。それに首を傾げるところがあって。
M:はは。そりゃ当たり前だよ。
小:売れるものを作らないといけないわけじゃん。でも、私、どちらかというと陰な部分があるんだけど、作品を売るなら楽しませてあげたい。買った人に対して。幸せを感じてもらったり。でも、自分の描く絵はどろどろしてて。ちょっとグロテスクってよく言われる。花の絵を描いても、何だこれはってなる。でも、そういう風にしか描けないからしょうがない。それがよく分からなくて、あっち行ったりこっち行ったりしてたの。
M:結論出たの?
小:じゃあ、アートをデザインとして落とし込めばいいじゃんって。前からそういうことは考えていて、鞄を作ったりしてて。鞄を作っていたんだけど、実は鞄の中にアート作品とつながるものがあって。
M:分かるよ。前のやつもそうでしょ。あれ何だっけ。
小:「カット」(*3)って言う。それをもっともっとしていきたいなって。

cut1.jpg

M:うん。
小:あと、絵を描くのも好きだけど、人様に見せるようなものじゃない。
M:でも……、まあ、いいや、最後まで聞くわ。それで?
小:じゃあ、どういう形で落とし込むか考えてた時に、牧田さんはスクリーンをやってたりするわけ。それ(布に印刷されたもの)で絵を展示していたり。あ、それすごい面白いなって。布からモノができあがるでしょ。それで(絵の印刷された布を使って)「カット」っていうバッグを作ったら、(アートでありつつ実用的な)作品になるじゃん。鞄でなくても何でもいいよ。
M:なるほど。
小:私は洋裁をしていて、自分が一番気持ちが落ち着いて続けられることが、ミシンじゃないの。絵を描くにしても、地味に、小っちゃい世界に入り込むのが好きなの。それが(洋裁の場合)刺繍なの。糸で絵を描く。それ一本にしてみようと最近決めて活動を始めてて。でも、今の刺繍の技術じゃあ、自分の絵を刺繍するまでにいかないから、うちの母親が刺繍しているから年末に基本的なことを教わってきた。だから、今やることは絵を描くことと刺繍をすること。
M:絵を刺繍にするんでしょ。
小:将来的には糸で絵を描きたい。そこにしぼろう、そこだ!って。だからJSの中では私は刺繍で絵を描く人としてHPでも載せようって決めたの。
M:まずは制作? 目的地を決めずに。
小:まずは個人でスパイラル(*4)に出ようって。あそこは団体で出る場所じゃないって思って。でも、あのスパイラルはバッグとかって商業的なものは受け付けていなくて、どちらかというとアート寄りな。
M:アートだよ。でも、コンセプチュアルじゃなくて物質的なアートだとは思う。
小:そうかもしれない。
M:今日(『『No Man’s Land』』で)見たみたいなさ、クーラーからの風でビニールがゆらゆらしているのは、俺は好きだけど、スパイラルじゃ相手にされない。スパイラルはアートなんだけど、デザイン的な作品をよしとするイベントだと思っていて、だから、比較的キレイなものが賞を獲るんじゃない。
小:(応募の)締め切りが2月。
M:近いね。
小:刺繍で何かを出す。そうじゃないといけないから。
M:それで、(開催は)5月?
小:そう。それが個人的な活動。
M:面白いなと思ったのは、作品を使えるものにしようっていうこと。あのサラさんだって、あの部屋は壊しちゃうんだよ。それが小林さんは許せない。何か使われながら残したいんでしょ?
小:自分がやるとすると、何かに落とし込みたい。楽しませたい。日常的なものとして。それを最終的なゴールにしたいんだけど。
M:(小林さんの中の)陰の要素をデザイン製品に落とし込みながら、使えるモノとして成立させたいわけだ。
小:日常的に使えるモノになれば、一番。それは前々から分かっていたんだけど。
M:「カット」の場合も、単なる鞄ではなくて形態の面白さというかがあったよね。
小:平面から立体になるのが面白いと思ってて。そういうことをもっと続けたいんだけど。じゃあ、最後何の形にするのかっていうところが。
M:その実用的なモノが何かっていうのは決めてないんだ。でも、縫うってことは布ではあるんだよね。
小:布だね。
M:あと、もう一つ縫うことに関すると、針にこだわっている作家がいて。韓国人でニューヨークで活動しているんだけど、キム・スージャっていう。
小:キム・スージャ。
M:その人は別に縫って製品を作るっていうよりは、縫う行為自体を意識している人で。縫うことに徹すると、あの人みたいになるのかなって。
小:私、絵を描いていると、こうなっちゃう(没頭してしまう)。ここの(限定的な)世界に入ってしまう。ミシンだと、デカイんだよね。動きが。だから、あんまり好きではなくて。だったら、手で縫っちゃえって思う。
M:(スパイラルの締め切りが)2月でしょ、時間ないね。
小:ない。だから、今、時間があれば作品づくりに費やさないと。でも、これっていうのが決まっているから。正月は基本の縫うことばかり練習していた。だいぶ上手になったって言われた。
M:お母さんは指導できるスキルを持ってるんだ。
小:すごいの。洋裁が。
M:お母さんにやってもらえばいいじゃん。こういうの縫ってって。
小:はは。でも、縫うってすごくて。その人の性格が全部出るの。形に。お母さんの作った花の絵と、私の花の絵は全然違うの。だから、そういうことよ。お母さんに頼むと違う絵になっちゃうの。
M:はは。(お母さんの方が)上手な絵になるってことじゃなくて?

小林さん top page


(*1)サラ・ドラタバディ:1978年、テヘラン生まれ、東京在住。
(*2)エアコンから風が出てた作品:フランス人アーティスト、アンヌ・レニエルのインスタレーション。
(*3)「カット」:小林さんの考案したデザインバッグ。marimekkoの本でも作品例として取り上げられた。(こちらの録音参照)。
(*4)スパイラル:青山のスパイラルが主催する「SICF(スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ・フェスティバル)」。小林さんは一度、05年に団体で出展。

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> 『何もなく終わっちゃったあ』(小林さん:09/01/25)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2009/02/11) Twitterでつぶやく

koba090125-1-2.jpg

小林さん top page

※次回、トモケン(写真右)らと3人展を開きたい小林さん。

maki abramovic(以下M):展示会決まった?
小林さん(以下小):ぜんぜん決まってない。
M:え、決まってないの。会場も?
小:会場もぜんぜん、行動してない。理由があって。11月ぐらいに、(小林さんが所属するjestsquipメンバーの)トモケンに「11月のミーティングどうする」って聞いたら、トモケンは11月いそがしかったのよ、結婚式がいろいろあって。
M:去年の11月の話? 結婚式したんだ。
小:したした。それで忙しかったから「じゃあ、トモケン暇になったら言ってね、12月に言って」って言ってから、連絡がない。もう私からは誘うのやめようと思って。
M:え、会ってないの?
小:会ってる会ってる。
M:会ってるけど、この話はしないんだ。
小:私はもう、トモケンを待とうと思って、私ばっかりうるさいなと思って。
M:だってヒロエもいるでしょ。
小:ヒロエも、何も言ってこない。
M:ははは。
小:いったい何なんだろうって思って。
M:だって、去年の7月だよ。前回の録音。
小:私は忙しいけど、基本的に土日が空いてるでしょ。
M:トモケンは?
小:トモケンも空いてると思うんだけど。
M:結婚式終わったでしょ?
小:終わった、よね。

(中略)

M:小林さん、前の録音、7月だよ。7月13日。「人生80何年あるんだから、この数年なんて」とかユルイこと言ってる。
小:はは。でしょ? でも、もうやらなやきゃって思って、ずっとやってて、10月ぐらいに連絡したのかな。「トモケン、次のミーティングは?」って。
M:作品は作ってるの?
小:私は決めたの。もうトモケンが声掛けてくるのを待って、私は私で作品を一人で作っておいて、(トモケンが声を)掛けてきた時に「私は今こういうのを描いてる」って見せれるように、静かにして……。
M:一人で展示会するっていう考えはないの?
小:一人でしてもいいけど、そっちはそっちで。トモケンとヒロエ的には「何?」って感じになるから。
M:でも、早くやりたいから、みたいなさ。そこらへんで衝突したくないわけ?
小:そんなギュウギュウに、一緒にやるから、私のペースとトモケンたちのペースが違うし、それを無理やり一緒にしたらダメかなって。
M:ダメかね。
小:トモケンたちのペースもあるから、それに合わせてやればいいかなって。でも、その時に自分がやっとけば、進めとけば、話が早いでしょ。
M:そうだけど。一人でやればいいじゃんって思うよ。音沙汰なしで半年でしょ。
小:そうなんだよ。だけど、もう……。
M:人生そんなないよ。60年あったら120分の1がなくなっちゃったわけだから。
小:計算しちゃうと、すごいね。
M:半年は長いよ。

(中略)

M:森美術館、行った?
小:行ってない。何?
M:おもしろかったよ。インド美術やってるんだよ。「チャローインディア」ってださい名前(の展示会)だなって思ったけど。インドってさ、何というか、デリーがどことか、ムンバイがどことか、地理的なことから何も知らないから……。
小:私も知らない。
M:そういうレベルからおれは知らないから。
小:イメージは、宗教……。
M:でしょ? だから、皆、放浪に行く、みたいな。
小:そうそう。
M:で、歴史も知らないし、ヒンズー教も知らないし。それで、これ(展示会のカタログ)読むと、「皆、悠久の大地とか目の輝きとか、カオスとかのイメージがあるけど、それは日本人のイメージでしかない。実際は違います」って書いてある。
小:違うって?
M:中国とね、共通点があって、大胆なんだよね。オブジェも圧倒的にでかくて、一番インパクト強かったのが、入口にあった象(のオブジェ)。これ(カタログ見ながら)超デカイからね。
小:何、これ。(素材は)紙?
M:紙じゃないと思うよ。触れなかったけど。小林さん、行ったら、すごいインスピレーション受けると思うよ。
小:(象のオブジェの)タイトルがすごい。
M:とにかく、日本人とスケールが違う。まあ、大きければいいってもんじゃないけど。社会情勢を反映したものが多いかな。ま、見せようと思って(カタログ)持ってきたんだけど。
小:まだやってる?
M:まだまだやってる。
小:観に行ってみよ。
M:日本ってさ、彫刻一つとってもさ、昔からの美術の時間である、木から彫り出すみたいなさ。
小:あるある。
M:でも、今、素材が自由でさ、いきなり変な形のものが作れるじゃん。まったくそこらへんに染まってない人の方が、面白いものが作れるんじゃないかなって。
小:(カタログに熱中)
M:こういう映像作品もシュールでさ。面白い。それ、ハンコで顔作ってる。小林さん、新しい作品は作ったの?
小:作ってないよ。何にも。
M:じゃあ、2008年を振り返ると、どうなるわけ?
小:……でも、人には言えないことをしてる。
M:ははは。それは逮捕されるってこと? 人には言えないって。どういうこと?
小:そうじゃなくて、それも、そのうち皆には分かるから。
M:展示会には関係ないの?
小:あるよ。
M:個展の準備してるってこと?
小:まあ、そういう感じかな? でも、ちょっとまだ、誰にも言ってはいけないから。
M:でも、誰にも言わないうちに個展もやらずに全部流れたりしない?
小:それは絶対にやると思う。
M:今年やるの?
小:あんま言っちゃいけないっていうルールがあるから。
M:ははは。誰のルールだよ。自分の中ででしょ?
小:そのうちね。
M:2009年はどうするの?
小:2009年はそれが決まってる。
M:3人展?
小:それと、一人でもやりたい。絵を描きたいの、私。
M:あれ、絵になったの?
小:絵だったよ。トモケンたちとのやつは。
M:前はオブジェだったよね。オブジェって言うか、何というか、機会みたいな。木材の。
小:ああ、「実験1」(*1)でしょ? そうそう、今回は絵で、絵を描かないといけない。
M:ははは。描かないといけないんじゃなくて、描きたいんでしょ? どういうこと?
小:そういう意味じゃなくて、3人の分担として、私は絵ってこと。
M:じゃあ、一人でやるのは絵じゃないってことね。そういうことでしょ。3人用には絵を描かないといけないんだけど、自分用にはオブジェ的なのを作ろうかなって。
小:そうそう。
M:創作意欲はあるんだ。
小:あるよお。日々やりたいんだけど、最近、体力がさあ。ははは。仕事して帰るとさ、前は続きとかできたけど、限界でさ。帰ったら、バタンって。
M:ブログ(東京藝術史)の人たちは活躍しはじめてるからね。巨匠は予算ついて映画撮ってるし、キャリスマはその映画で音楽使われてるし。
小:つながってるんだ。
M:つながってる。あと、キャリスマはCMでも曲使われてるよ。夜のニュースの時しか流れないけど。
小:(自分は)2008は何もなく終わっちゃったあ。私一人でやろうって、何回も思った。ああ、一人でやればいいのかあって。あ、違う。一人でやればいいけど、そっちはそっちでやれば、一人でやりたかったら一人でやればいいじゃんって。
M:ガンジス川みたいだよね。時間の流れが。現代社会の中で。
小:ははは。

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(*1)二〇〇六年:06年5月26―30日、青山yasu Galleryで、友沢健太郎、小林さゆりの2人展「実験1」が開かれた。※こちら参照





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> 『八十何年あるんだから、この数年なんて』(小林さん:08/07/13)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2008/07/13) Twitterでつぶやく

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※次回、ほか2名(トモケン+ヒロエ)とグループ展を開く予定の小林さん。

maki abramovic(以下M):今日は展示会会場の下見でしょ。ギャラリーを何カ所まわるの。
小林さん(以下小): 四、五カ所ぐらい。

※目黒川沿いの貸しギャラリー「キャスパーズギャラリー」を見学

M:いいところだね。人通りはある。ギャラリーはちゃんと見たの。(今展示中の)作品ばかり見てたでしょ。
小:(外から中をのぞきながら)壁に、釘打てる。あの棚が気になる…。
M:いや、中でちゃんと見ればいいじゃん。そのために来たんだから。
小:はは。
トモケン(以下ト):(展示会開いていた人から、小林さんが)職業を聞かれてた。
M:何て答えたの。
ト:五秒ぐらい黙った後に「デザイナー」って。にやけながら。
M:はは。
ト:いや、本当に(小林さんは)看板娘というか、看板デザイナーだから。
小:看板はそんなにやってないよ。何て答えようかと思ったけど、考えたらデザイナーだなって。
M:(展示会では)何やるか決まってるの。
小:秘密。
M:コンセプトは?
小:秘密。
M:秘密にする必要ないでしょう、コンセプトは。
小:はは。(コンセプト)変わるかもしれないし。ミーティングのたびに変わるから。
M:ミーティングは何回ぐらいやった?
小:三回。トモケンとは何回かやった。
M:(前回のテーマだった)「実験」はそのまま? 「実験2」になるのかな?
ト:そう。
ヒロエ(以下ヒ):そうなの?
M:ミーティングやって、そこが意思統一できてないのかよ。
M:(展示会は)いつやるんだっけ。調べたら、前回(の展示会「実験1」)は二〇〇六年(*1)でした。
小:知ってます。(今回は)来年の春。
M:来年の春? 準備期間、ずいぶんあるね。
小:ある。人生八十何年あるんだから、この数年なんてどうってことないって思って。
M:会場を先に決めて、イメージを膨らまそうってこと?
小:いや、土台の部分はもう固まってるから。
M:じゃあ、イメージに合った会場を探すってこと? 来年ってことは二〇〇九年ってことでしょ。
小:そう。
M:三年ぶりなんだから、会場の値段が数万円違ったって構わないんじゃない? 良いところを選んだ方が。
小:……(トモケンの方を一瞥)。
ト:(小林さんは)お金持ってるから。
小:はは。持ってないよ。

※次に、駒沢通り沿いの「青山|目黒」を見学。外観のみ

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(*1)二〇〇六年:06年5月26―30日、青山yasu Galleryで、友沢健太郎、小林さゆりの2人展「実験1」が開かれた。※こちら参照





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> 『あの作品だけは完成させよう』(小林さん:07/05/05)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2007/05/05) Twitterでつぶやく

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第8回SICFを観た直後の録音。小林さんらJEST SQUIPも二年前、第6回SICFに参加している。

maki abramovic(以下M):今回のスパイラル、どうだった?
小林さん(以下小): おとなしかった。
M:一つも面白いものなかった?
小:入口で見たのは面白かった。
M:去年の入賞者の作品ね。でも、あれでしょ、入れ替えなんでしょ。
小:(今日見たのは)Bグループ。
M:前半(Aグループ)は面白かったかもしれない。
小:だって、アンケート答えられなかった。
M:毎年微妙だけどさ。今年は展示会やらないの。
小:JS(=JEST SQUIP)以外? やるけど、引っ越しがあって。
M:何月?
小:七月。もうちょっとだ。あと二ヶ月しかない。
M:引っ越し先は?
小:まだ決めてない。
M:一人で暮らすの?
小:そう。引っ越した後なら(展示会)できるかも。
M:秋口に?
小:秋口に。
M:アイデアはたまってるの?
小:(肯きながら)気持ち悪いかも。(JSメンバーで同居人の)K村さんが「うわああ…」って言ってた。ちょっと部屋でこっそり(作業を)やってたら、後ろから見られた。何かね、(SICFは)エネルギッシュなのがなかった。こいつ、憎たらしいと思うのがなかった。反発したくなる作品もなかった。
M:あのデジカメのね、ショートさせるのは気になったけど。でも、あれだけだもんね。
小:ムカムカするのも楽しいのも…。
M:前半も見ればよかったな。
小:そうだよ。「あの作品はね…」と話題になるのがない。こっちもムカツクようなことを期待してた。反発心。何でこの作品、こうなるのって。分かりやすく言えば、パワフルじゃなかった。やっちゃった、って感じの作品がなかった。
M:もっと絞った方がいいんじゃないかな。数を半分にしてブース広げて。
小:そうね。
M:今年、ベネツィア・ビエンナーレなんだよ。
小:今年?
M:ベネツィア・ビエンナーレでも、賞があるのはどうなんだって議論は昔からあって、一時期、賞はなかった。
小:あれ、賞を獲ると何かなるの?
M:ハクがつくんでしょ。出品しただけでも名誉だっていう。……最近、貸ギャラリーじゃなくて、ようやくプライマリーギャラリーに興味持ち出して。
小:何それ。
M:アーティストが所属して、展示して売っていくわけ。値段もまずそこで決まる。要するに売るための場所なわけで、それでいったん市場に出て、さらにそれを買うのがオークションみたいなセカンダリーのマーケットで。
小:(プライマリーギャラリーは)あるの、けっこう?
M:あるよ。あるんだけど、調べたら、全部平日しかやってないの(*1)。ゴールデンウィークに有名どころを回ろうと思ったんだけど。美術館と違うんですよ、ビジネスですよ、ってことだと思うけど。でも、土日の片方はやったらいいと思うのに。昔からの画廊の慣習なんじゃないの、平日しかやらないってのは。つまんないよね。
小:前、(プライマリーギャラリーで展示会)やったことあるかも。ちょっとね、嫌な気持ちになった。オーナーが強い。自分たちが好きなようにさせてくれない。これは展示していいけど、これはダメとか。
M:客層は?
小:アートの業界の人が多かった。
M:作品は売る前提なの?
小:売っても良いけど、その時は売らなかった。
M:小林さんは何を展示したの。
小:私はバッグ。
M:あのチョウチンみたいなやつ? …だから、平日しかやってないから、俺は一度もプライマリーのギャラリーに行く機会がなかったんだって分かったわけ。その展示会も平日だった?
小:どうだったかな。土日もいれてたかも。けっこう長い間やったな。
M:多分、そこはいわゆるプライマリーじゃないと思うよ。もっと、ギャラリーは土日もやって、コンテポラリーのギャラリーが(消費者に)身近な存在にならないと、いくらアーティストが頑張ったって売れないじゃない。マーケットができて、金を動かさないと、作品が回らないよね。スパイラルみたいな(展示する)場は色んな場所にあるんだろうけれど、買う人はいないもんね。まずは、作品を買うっていう生活スタイルを確立しないと。買って、アートについて語る人が増えないと客の裾野は広がらないし。
小:アートをそのまま売るってこと? 日常のものにして売る?
M:最近はアートをミニチュアにしたりグッズにしたり売るってやり方はあるよね。
小:Tシャツやコップにしたら買うよね。
M:……こないだの代々木上原の(*2)はどうだった?
小:売上?
M:売上でもいいけど、全体として。
小:あれはもう、売るっていう前提でやったの。とにかく、店にしようって。そういう感じ。
M:制作費はけっこうかかったの?
小:それは個人個人によって。K村さんのはけっこうかかってる。バッグ。シマシマの。一般人にすごくうけた。全部売れた。多分、Tケンのバッグとかは若い人しか興味を持たない。K村さんのは面白いじゃなくて、買いたいと思わせるバッグ。どんな年いった人も買いたくなる。私のはTケンのと同じで、面白いタイプで。
M:あのチョウチンみたいな鞄は名前あるの?
小:『カット』。あれ、本に出たの。marimekkoの布の本に出たの。手作りでこんなバッグを作りませんかって一例で。そこでは『スクエア・バッグ』ってなってた。私が考えた文章もなくなってた。
M:それはいくらかお金もらったの。
小:もらわない。
M:「小林さゆり作」とはなってるの?
小:名前は後ろに出てるの。本の後ろに。
M:何て本、本屋に売ってるの?
小:「フィンランド・ファブリック」。本屋に売ってる。四月の終わりぐらいに販売されたと思う。
M:何となくデビューだ。
小:ちょろっとね。プロは上手だなと。写真の撮り方も文章も。分かりやすく書いてある。
M:それはどういう経緯でそうなったの。
小:marimekkoの布が好きで、よく買いに行ってたの。そしたら、merimekkoの布を使った作品のコンテストをやるから持ってきてって言われて、それで私は出さなかったんだけど、(JSメンバーの)シホが出したの。そしたら、何か雑誌の編集者が来ちゃって、本をやろうとしてるから作品を何点か借りたいって。ほかにもいたら見たいからってシホが言われて、それじゃあ私もって。出したら、オッケーって。シホのも(本に)出た。
M:じゃあ、二人が本に登場したわけだ。何でそれを(JSのサイトで)宣伝しないの。
小:販売してるものが手作りブックに載るのも違うかなって。
M:でも、あれ(JSのサイト)、あまり販売に力入れてる感じじゃないじゃん。そういうの宣伝していかないと。
小:HPでも売れてるよ。K村さんのバッグはもうなくなって。HPでも、展示会でも、もうすごいよ。HPでは二個、かな。展示会では二桁いったもん。だから、展示会の借りたお金(場所代)を越えた。
M:黒字になったんだ。成功だ。
小:あの展示会のとき、皆で泣いたんだ。涙流して。おかしかった。何かね、女の子がふらっと入ってきてTケンのバッグをじっと見てて。作った人が見たいって言って。で、Tケンと話して、そしたら、買いたいって。それで「ありがとうございました」って梱包しているうちに、机の上のノートに、あれに女の子が1ページに渡って書いてくれて。そのノートを見たら、全員泣いたの。「今日一日、この町を歩いてて、たまたま入ったこの場所で、素敵な人たちと、そして素敵なバッグに出会えました」って。……あれ、違ったかな。
M:はは。違うのかよ。
小:そういうニュアンス。全然知らない人が、良かったって言ってくれたから、皆ボロボロになって頑張ったからかもしれないけど、全員が下を向いて、Tケンはトイレに走って……。もうこれだけでいい、これだけでいいって言って、ノートを開いては閉じ、開いては閉じして。何か知らないけど感動した。「このバッグを、こういう風に使ってみようと思います」とか。
M:今年は売れたし本にも載ったし、いい感じだね。
小:いいでしょ?
M:JSの流れに乗った方がいいんじゃないの? 別の形にしようってのはないの。お店とか会社とか。
小:したいけど、まだ。……Tケンと私とでカフェや美容院に営業しようって話になってる。そこがまず第一歩。その次にどうするかは、まだ分からないけど。気軽に一般の人に見てもらうっていう場が今までなかったんだよ。展示会しないと。何か動きをつけないと、今までみたいにダラダラしてると……。K村さんに尻叩かれるから。K村っちがいないと、あのメンバーやばいでしょ。
M:やばいかもね。
小:展示会しようかって話が出ると、私とTケンは「これでいこう」「これで決まり」ってなるんだけど、場所も日にちも決めない。で、そのまま解散ってなって、それを何回も繰りかえしてたら、K村さんが怒りだして「夢ばっかり語って!」って。はは。今もずっとそんな感じ。今年は、あとは個人の展示会と、Tケンと「実験2」(*3)をやりたい。さらに欲を言えば、年末でいいからJSの店をもう一度やりたい。さらっと。できるかな。やりたいからやると思うけど。

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M:今回のインタビューからテーマを作ったのよ。今回は「才能」。
小:才能ね。……(例えば)二人いて、片方が才能があって、もう片方がなくて、二人が同じように努力したら、才能がある人の方が勝つでしょ。けっきょく、才能がある人には勝てないのよ。ただ、可能性としては才能がない人にも、瞬間的に入り込む隙間があるかも。いやらしい話だけど、そこに入り込めば、利用できる。
M:ワンチャンスで勝てる可能性があると。はは。何、それは自分が才能ない方の人間として話してるわけ?
小:そう。私才能ないもの。才能ないけど、……よく分からない。才能ない。才能って何?
M:才能がある人って誰を想定してるの? 比較対象は誰。ワンチャンスで誰に勝とうとしてるわけ?
小:はは。モノを作る人って、世の中に出る人と出ない人がいるでしょ? 有名になる人って才能が一つだけじゃないのよね。人付き合いが上手とか。
M:下手な有名人もいるでしょ。
小:下手じゃないの、密かに上手なの。この人放っておけないって思わせる何かがある。ある気がする。けっきょく作る人は、作ることだけに才能がある人は世に出ない。それを、誰かに見てもらって、ポンって出してもらう才能がないと無理だと思う。だから、アーティストは横に誰かいると思う。気がする。だから、さっきの話に戻ると、私とかTケンにはそういう才能がない。……鍵はK村さんだよ。
M:K村さんと関係があることが(小林さんの)才能なの?
小:……何をもってして才能か分からない。
M:じゃあ、質問を変えるけどさ、小林さんが会社で有休取ったりして苦労して時間作って活動を続けるのは、モノづくりの才能が自分にあると感じているからなのか、(それとも)ただやりたいだけなのか。自分には将来的に売れるものやすごいものが作れるって信じているからなのか、(それとも)やりたいっていう気持ちが動かしているのか。
小:やりたいからっていう方が普通だけど、時々、「私すごい」とか「才能がある」と思う自分がいるよ。
M:これまで作ってきたものはどうなの。
小:好きなものもあるし、好きなものはずっと作り続けてる。
M:才能は出し切れた?
小:まだまだ。多分、一生満足しないと思うけど。作ってるとき、時々興奮する時がある。震える時が。そういう時はイッちゃってる。
M:イッちゃってるって、どういう意味?
小:自分の頭の中にあるものを早く形にしたくて、しょうがない。だから、体が追いつかなくて気持ちが高ぶって。飛んじゃってるんだけど、そういう時、才能があるって、いや、才能とかじゃなくって「私は天才だ」と思う。作ってる時の口癖が「天才」。
M:口癖なの? それとも本当にそう思ってるの?
小:毎回言ってないよ。本当に自分が「これだ」ってひらめいた時だけ。難しいよ才能って。歌を歌う才能って分かりやすいじゃない。うまいかへたか。モノを作ることに才能があるのか、……ないのか。
M:また質問変えるけど、才能を評価するのは他人なのか、自分なのか。売れることによる他人の評価なのか、売れなくても良いから自分で評価するのか。
小:(評価するのは)自分じゃないと思う。他人だと思う。ただ、一回や二回、他人の評価が悪くても、自分の評価が高ければやり続けるんだよ。他人の評価と自分の評価が同じぐらいの時に、その作品は完成する。諦めたらその作品はなくなっちゃう。
M:例えば、力入れて作ったモノと、あまった材料で適当に作ったモノがあるとする。で、適当に作った方がめちゃくちゃ売れたとしたら、どう思う? 自分が良いと思っていなかったのに。
小:どうしてか知りたい。(売れたことが)才能とは思わないけど、何でだろうって。
M:その適当に作ったモノが大量生産され始めて、マスコミにも「天才、天才」って騒がれたら、どう?
小:嫌だ。自分が違うって思っていたら、それは完成された作品ではない。
M:やっぱり自分が納得した上で評価されないとダメなんだ。
小:自分の気持ちが強ければ、続けて続けて、納得いくまで続けても(他人の評価が)上がらなかったら、何でかっていうのを追求する。で、手を加えて変えるかもしれない。作品が変形して変わっていく。変形させて(他人の評価が)上がってきたら完成すると思う。
M:(他人の)反応見ながら作るってこと?
小:全部鵜呑みにはしない。ピタっと(両者の評価が)合えば完成だと思う。私は作り続けてる作品が実は一つある。
M:何でしょう。
小:四角に丸の穴があいたバッグ(『カット』)は、ずっと作ってる。あれは、元々紙で作ったの。
M:紙バージョンは見てないな。
小:私、よく紙を切ったり貼ったりして遊んでるの。次、ガーゼで作って、これ面白いって。で、最後にああなったの。
M:スパイラルに出したんでしょ?
小:スパイラルではいまいちな評価だったけど「ここ(スパイラル)は場所が悪い」と。(『カット』は)「こんなすごい作品ないじゃん」って思って。だから、どんなに評価を悪くされても、あの作品だけは完成させようと決めたの。だから、ずっといろいろ手を加えて、これからも布の素材とか、形も、展示の仕方も変わると思う。

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(*1)平日しかやってない:makiの勘違いで、実際は土曜日まで営業し、日・月・祝日を休むギャラリーが多い。
(*2)代々木上原の:JEST SQUIPが07年3月16―18日、代々木上原「hako Gallery」で開いた展示会『present』のこと。
(*3)「実験2」:06年5月26―30日、青山yasu Galleryで、友沢健太郎、小林さゆりの2人展「実験1」が開かれた。※前回のインタビュー参照





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> 『展示会は永遠に実験かも』(小林さん:06/05/28)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2006/05/28) Twitterでつぶやく

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青山yasu Galleryで、友沢健太郎、小林さゆりの2人展「実験1」が開かれた

小林さん(以下小):今回はじめてやって、思ったよ。展示会にこだわる必要ないかもしれない、って。だって、いろんなやり方があるじゃん。
maki abramovic(以下M):いわゆるアート界のやり方は、展示会を重ねるやり方でしょう。そこで勝負していくんだとしたら…。
小:分からない。もしかしたら、これもまだはっきりしないけど、最近、家具の職人さんと絡むことが多くて。職人さんっていうより、家具のデザイナーを目指す人たち。で、家具をやりたくなったってより、家具は前からやりたいんだけど、何でもそうだけど、バッグも家具も…。
M:用途のあるものが作りたい?
小:なんか今日展示してるような作品って、けっきょく生活とあまり関係がない、じゃない? アートって。そういうものを、落とし込みたいの。日常に関係あるものに。バッグとか。
M:それは、良いと思う。
小:それを落とし込みたいんだけど、いまいち自分の世界観が見えてこない。で、それを外に出さないと見えてこないから、だから私は今回の展示会のタイトルを「実験」とした、のかもしれない。もし、こういうアーティストとしてやっていきたいなら、これだけに従事するけど、私ってけっきょく家具とかバッグとかの人たちとも交流を深めたくって。もともと学校に行っててさ、そっちを勉強してたんだけど、それを作りたいんだけど、自分の世界をこういうものに落とし込みたい。でも、あんまりかけ離れすぎると居心地悪くなっちゃったり、偏りすぎるとか。あと、良いバランスがあると思うの。その調度、かさなった部分。最後はそっちに行きたいの。
M:何と何のかさなり?
小:自分の世界観が強すぎても良くないし、すごい日常の方が強くても、私の作りたいものではなくなっちゃうから。
M:今日展示してる、ああいうものと、生活に関わっているものをミックスして。
小:バランスの良い部分を自分で見つけ出して、いつかそれを形に落とし込みたい。けど、いまいち私はまだやったことがないから。
M:ほんと、良いと思うよ。あの、黒い作品とかさ、もっと意味づけしたら面白くなると思うし、あの紙の作品もランプにしたら面白いと思うし。
小:あと、椅子とかテーブルとか、色んなものに落とし込めたら良いなって。

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M:基本的に今日三つ展示してあってさ、あれを総称すると「脆いアート」みたいなね。何作っても脆いイメージが頭にあって、儚さみたいな。固定されないもの、というか。
小:そう、私が創るものって、皆によく言われるんだけど、固定されてなくて、危なくて、ふらふらした感じ。
M:とりとめのなさが本質で、だから、それだけで攻めると、なかなか受け入れてもらえないよね。
小:そうだね。
M:だから、椅子とかテーブルとか、そういう枠のなかでやっていけば、個性が良い具合に出るかも。
小:今は家具の子たちと、そういう感じで、深めてる。実はもう一つグループができちゃって。デザインフェスタでは男の子十人がいて、女の子は一人いたんだけどミーティングとか来てなくて。もう終わったの、バッグとか売れたの。けっこう好評で。バッグって思ったの。自分がデザインした一個だけすごい気に入ってるデザインがあって。それをひたすらそれだけ作ろうかなって。他のはデザインしないで。それから、形を変形させたりマイナスしたりして、やっと自分のモノになるんじゃないかな、って最近気づいて。新しいのはやめようと思って。あと、昨日家具を作ってる子たちと飲んだから訊いたの。家具を作る技術的なこと。……作れる。
M:作れそう?
小:でも、もうちょっと自分の世界観のベースを押さえたからにしようかなって。知識もいるけど。両方必要だよね。
M:照明器具作ったら?
小:照明は面白いよね。一人面白い男の子がいて。その彼はね、今までにない人なの。今まで照明器具のデザイナーと話をすると、だいたい、形にこだわってる人が多い。形がどうだこうだって。その彼が言ったのは、僕は影をデザインしたいんだって。光によって起こる影をデザインしたいんだって。光の温度とか、光の広がり方とかね。光の種類によって影が全部変わるでしょ、それをデザインしたいって言っている人がいて。その子が、あれ(展示作品)を見て言ってたの。これ、照明にしたら良いなって。
M:前からさ、前のグループ展からさ、光とか隙間とか言ってたよね。
小:言ってたね。何かさ、環境は抜群だと思う。自分が今。そっちの子たちとかかわりがあるから、いっぱい教えてもらって、じゃあこっちで、提出してみる。もしかしたら、私の今日みたいな展示会は永遠に「実験」かもね。
M:それは良いやり方かもよ。
小:でも、こっち側で型は日常的なものをデザインしていきたい。
M:それは作品のバランスというより、制作のバランスとして良いかもしれない。
小:だから、最後は多分、そっちの家具が、こっちからやってきた感じになるかも。
M:逆に、家具とかが、本当にやりたいことに影響していくか。…こないださ、藤田嗣治の回顧展に行ってきたわけ。近代美術館で今やってるやつ。回顧展だから有名なのだけが展示してあるんじゃなくて、流れで、若いころからの作品の変遷がよく分かる。小林さんも、こないだのグループ展と今回の展示会を合わせて見ると、人が浮かび上がってくるね。単発じゃ分からないけど、三つ作品があれば、その共通項が作家の本質というかね。自分でもそう思う?
小:自分は分からない。
M:十個、二十個作って、それで繋がりを見つけるとさ、ああ、自分はココを作りたかったんだって分かって、より密度の濃いものを作れるかもしれない。
小:次、新しいものを作ろうとは思っていない。きっと、今回のを応用して、もっと固めていかないと。
M:展示会的にどうかは別として、本人としては「実験」というのは良いかもしれない。
小:はは。

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> 『わたくしと関係』(小林さん:06/02/19)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2006/02/20) Twitterでつぶやく

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maki abramovic(以下M):作りながらぼちぼち喋ってていいよ。Tケンと展示会するって聞いたけど?
小林さん(以下小):(シルクスクリーンの型を作りながら)やりたいね。でも、予定がくるってきてて。私の、予定が。まあ、いいんだけどさ、別に。
M:何だそれ。
小:モノを作ってるうちにね、手を動かして作っているうちにね、何やってるんだろうって思っちゃってさ。思わない?
Tケン(以下T):え?
小:何でさ、モノ作ってるんだろうって思って。
M:個展の作品について?
小:個展、今考えてて、作品を作ってるんだけど。なんだろう、作品っていろいろあるじゃない? 例えばバッグとか、人が実際に欲しいと思って購入して使えるもの。そういうのじゃないのやってると、何の意味があってやってるんだろうって考えたりして。
M:それで、手が止まった?
小:いや、止まってない。今はね、復活した。何かメッセージを残したくて作ってるのか、何かを訴えたくて作ってるのか。それとも、ただ作りたくて作ってるのか。
M:どっちなの。
小:結論が出たことが一個あって、作るのが好きなんだよね。
T:そう、それに尽きます。
小:そう、それだけだってことに気づいて。じゃあ、別に、そんなに深く何かを訴えられないからこれやり直し、考え直し、ってやらなくても、作りたいから作る、でいいじゃん。何か、作ってるとき、興奮するよね。
T;さっき(Tシャツ作ってるときに)した。でも、失敗した。
M:じゃあ、見せることについては?
小:だから、見せるっていう目的があるから、作るんでしょ? 多分。
M:作りたいの、見せたいの。
小:きっかけっていうか、なんだろ。やっぱり、人に見てもらいたい。
M:でも、さっきの話だと、作ることの方が大きいんでしょ? 見せることより。
小:……作ってるときに、見せるってことを考えすぎて作ると、よくないかもね。色々考えるじゃない。これを人が見たらどう思うんだろうって。そしたら、自分が作ってるモノに意味があるのか、とかね。
M:考えすぎちゃう?
小:もう考えすぎちゃって、手が止まっちゃう。
M:でも、作る方が大切なんでしょ?
小:作ってるときは純粋に、作るのが好きだから作ってるんだから、あんまり、考えすぎも良くないと思うよ? 考えちゃうけどね、絶対。人が見たら……、って。
M:個展の話に戻るけど、一人でやらないの?
小:なんかね、借りるところが大きいの。
T:二人で分けましょう、と。
小:二人で分けてもいいねって。例えば、日程を分けてもいいし。場所はもう決めてるんだけど。青山。場所を半々にしてもいいし、日程を半々にしてもいいし。一週間だもんね。
M:予定が狂ったっていうのは、作品を作るスピードが落ちたってこと? それとも、デザインフェスタとか、スパイラルとか、出すことができなくなったってこと?
小:作品の思考が変わった。はじめは三つとも同じの出せばいいやって思ってたけど、でも、やっぱ、違うんだよね。
M:スパイラルはそろそろ締め切りだよね。
小:そう、でも、スパイラルはもう分からない。スパイラルよりも、今は個人的な展示会の作品を考えてる。スパイラルは出せればいいなってぐらい。
M:じゃあ、二人で半々でやる展示会ってのはいつやるの。
小:春ぐらい。五月とか、四月とか。
M:三月って言ってなかった?
小:間に合わない。
M:余計なことを考えちゃったから?
小:そう、手が止まっちゃって。作品が変わっちゃったの、作品が。変わっちゃったの、あたし。
M:嬉しそうに言ってるけど?
小:しかも、その作品。……人が来たとき、どう思って、とか。すごい想像しちゃうの。すると、すごいくだらないな、これ、とか思って。でも、今度は、くだらなくてもいいじゃん、って思ったりもして。いやいや、もっと、違うだろ、とか考えているうちに……。オモシロイっていうのはさ、自分がオモシロイって思ってるんだけどさ、日にちが経つとね、じゃ、他人が見たらどうなんだろうって、そっちに(考えが)いっちゃうの。いっつも、いっつも。そしたら、それをグルグルしてるうちに、何でわたし作ってるんだろう、って。
M:アイデア煮詰まってないうちに作りはじめてるんじゃなくて?
小:いや、わたしアイデア煮詰まってなくても、作るのはいいと思う。手を動かして。……でも、何だろう。何がやりたいのか分かってないのに、自信ないのに手を動かしてるからかな。よく分からないな。
M:俺はある程度準備をしてからじゃないと動けないタイプだわ。で、スパイラルは無理してまでは出さないんだ。デザインフェスタは?
小:デザインフェスタは出すよ。 
M:どんな感じ? もう何回か話し合いした? 何人でやるんだっけ。
小:十二人とか、そんなぐらいかな。でも、自分の作品は自分のペースで。でも、個展は、ある程度はしめないとね。(日程は)ココっとか。いつまで経っても決まらないから、しめないと。もう決めちゃおうかなって。やる? Tケン、一緒に?
T:もちろん。それを今、ちょっと考えてて。
小:やるんならね、もう一緒に申し込んじゃおうかなって。
T:場所がよければ、二人でやる。
M:四月?
小:四月。だから、Tケン、ちょっと考えないと。
T:四月? あと二ヶ月か。
M:よかった、話がまとまって。小林さん、やりたいこと変わっちゃったってことは、ゼロから作品作るってこと?
小:今は手作業。……実験してる。
M:前は何やろうとしたの。
小:前のはね。説明するのが難しいな。(ノートを持ってきて)ほら、見て、これやろうとしたら、他の展示会でやられちゃって。
M:これ、天井?
小:床だよ。X軸とかY軸とか、あるでしょ。
M:それ、今やってるやつじゃないでしょ?
小:これは前の前。これをやろうとしてたんだよね。三次曲線っていうか。色んな方向に向かってる物体の合間にできる空間を見せて、遊ぼうと思ってて。でも、これはもう(他の人に)やられたから、サヨナラ、却下。

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M:誰にやられたの。
小:ワタリウム美術館の展示会で。
M:あの、スイスのやつ? あれでやられてたんか。
小:その次にやろうとしたのが、(ノート見せながら)これ。立体コラージュ。平面上でコラージュするでしょ? それを立体でやったら面白いなって。平面と正面と側面と、全部絵が違うじゃん。
M:ああ、それはちょっと……。けっきょくさ、三方向で別の平面があるだけなわけでしょ? 立体性が弱い。
小:え? だって、これは、中に入れる空間なわけ。
M:入れるの? 三方向から?
小:見たときは絵なんだけど、絵じゃなくて空間なの。ま、それを表現しようとしてたの、わたしは。でも、やめた。まだあるの、(ノートを開きながら)いっぱいあるの。
M:それ何だっけ。
小:プロジェクト・ノート。あ、こういうのもやりたくてさ、でも、制作が難しくて。
M:頓挫した?
小:(ノート指差しながら)これ木屑ね、木屑。木屑が舞ってんの。それでね、これ、あたしなの。
M:は?
小:これ、あたしなのね。
T:木屑が?
小:木屑あたしなの! ちょっと想像してみて。ここに、木屑の頭があるとして。すごくない?
M:人って意味じゃなくて、小林さんである必要は?
小:だから、スペースよ、スペース。こういう形のキューブで、ぶあーって、人間の形をしてここに存在するの。
M:くるりのPV(*1)みたいな。
小:知らない、それ。だけど、その木屑のキューブがね、だんだんバラバラになって、壁にひっついてるの。で、壁に、みんなの顔があるの。
M:いまだに、それが「人」じゃなくて「小林さん」である必要性が分からないんだけど。
小:だってこれ、タイトルが「わたくしと関係」だもん。
M:ははは。タイトル関係ないから。
小:だから、あたし……。で、(別の箇所を指さして)これは「国際会議」っていう作品。けっきょく、人の話し合いって、真実が見えないっていうか。なんだろう、そういうのを表現したかったの。
M:分かった! ようするに、例えば俺と小林さんがこうやって喋ってるけど、でも真実は、実はお互いの真実は見えない。それが、人間の形をした木の集まりを小林さんと呼ぶことと、この人間の女性を小林さんと呼ぶことには違いがないんだよ、ってことだ。
小:これは、さっきの話とは別だよ?
M:え?
小:これは「国際会議」っていう別の作品。
M:あ、違うんだ。なんだ、木屑とくっつけて解釈しちゃったよ。
小:木屑は、あたしっていう人が生きてて。でも、けっきょくただの人間なんだよ、ばーか、っていう作品。だから、あたしは木屑みたいなもんだってこと。
M:価値がないってこと? ネガティブなイメージ? 木屑の集まりと自分が同じ価値で、置き換えられるってこと?
小:わたしは、ぽろぽろぽろぽろ、こぼしながら生きてますよっていうこと。
M:ああ、なるほどね。
小:分かる?
M:分かる分かる。今の説明なら。で、「国際会議」を経て、今は別のことやってるんだ。
小:今は、そういううるさいコンセプトはやめようと思って。やっぱり空間が好きだから、単純に。
M:さっきの立体コラージュを発展させたような?
小:そう。わたしは、コンセプトとかより、やっぱり空間が好きなの。だから、空間を、画家が絵を描くような感じで空間を描きたい。すごいよ。
M:すごいって言ったね。今の録音されてるから。
小:やっぱり、すごくない。
M:それも録音されてるから。

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(*1)くるりのPV:シングル『Superstar』のPVのこと






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> 『ぶちまけたことない』(小林さん:05/12/24)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2005/12/24) Twitterでつぶやく


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maki abramovic(以下M):来年の話は?
小林さん(以下小):本当に決定してるのはデザインフェスタ(*1)。五月。それは私が考えて、どういうことをしてく、とかじゃなくて、誘われて。
M:何人でやるの。
小:とりあえず、十人集まってるらしいよ。そのミーティング、初の顔合わせをするのが一月の中旬。
M:桑沢の同級生?
小:ううん、桑沢じゃないの。今行ってる家具の学校の子が、電話かけてきて。
M:じゃあ、その人中心にいろんな人が集まるってことだ。
小:その人はね、実際に家具を制作してる人で。
M:デザインフェスタは家具(のデザイン)にするの?
小:ううん、私は実際家具作ったことないんだけど。……何でもいいんだよ、って言ってたから、でも詳しくはまだ聞いてない。
M:十人で一つ(作品を)作るの?
小:聞いてないんだけど、多分、それぞれ作る。初の顔合わせで、もう少し詳しく突っ込んで聞いてみるけど。
M:それ終わったら、個展やるのか。
小:その前だね、その前に個展やる。デザインフェスタは五月だから。
M:三月くらいに?
小:そう。で、会社から帰って、パソコン嫌いなのに展示会場調べてるの。
M:決まったの。
小:決まらないの。だから、焦ってんの。
M:青山でしょ。
小:そう。
M:予算は?
小:予算は、もうね、十万ちょっとでもいいやって勢いになってきた。
M:一週間で十万超えてもいいぞ、って?
小:お金に糸目つけたら、見つからない。高いんだよね。どこかで妥協しないと無理だよ。お金か、場所か、スペースか、雰囲気か。
M:でも、今回は場所は妥協したくないわけだ。
小:したくないね。
M:高円寺は悪くなかったけど、場所が悪かったよね。南口の方がよかったね。
小:ああ、なるほどね、逆側ね。
M:で、作品は? 個展用の。どれくらいできてるの。
小:まだ実験してるところ。それは、また変わるかもしれない。
M:大掛かり?
小:まあ、大掛かりといえば大掛かりだけど、シンプル。ごちゃごちゃしてない。だけど、それをスパイラルにも回して出すか、全部違うのにするかは迷い中。
M:同じのでいいじゃん。
小:そう、同じのでガンガンガンって通すのも面白いかなって思ってるけど。
M:作ってるときに、なかなか(考えが)定まらないって言ってたけど。
小:一回目の(高円寺での)展示会のときは、意味が分からなくて。しかも、私、自分の展示会したことないのにグループ展やっちゃったから、辛かった。だって、皆のこと理解して、自分のことも理解しないといけないのが辛かった。だって自分も理解していないのに、他人の話も聞いて。……あのね、JS(*2)の展示会をやりたいのよ、そろそろ。だけど、何かよく分からないけど、自分の展示会をやらないと進めないの。一歩入り込めなくて。どうもね、何か気持ちの整理をつける意味合いもあるかもしれない。自分の展示会をするのが。
M:自分の展示会は満足いくものになるかは、まだ分からない?
小:分からないけど、でも、まだぶちまけたことがないから、個人的なものは。形にしてないから。で、グループ展って、どこか自分を押さえないといけないっていうのがあるんだよね。
M:今回は、他の人のことも考えず、評価も考えずにやると。
小:何も考えず、自分と向き合って、作品を純粋に作れるでしょ? そうしたら、ちょっと変わってくる気がして。で、どういう結果が出ても、自分と向き合うだけだから、いいんだよ。でも、グループ展だと、周りの表情が気になっちゃって。
M:グループ展はグループ展で大事なの? そこが分からないんだけど。
小:グループ展はやっぱり大事だよ。なんでかって言うと、自分の作品を作るのも好きなんだけど、最終的にいろんな人の作品を手にして、皆の可能性を一緒にした作品をつくるのが夢なの。
M:前回はまとまりに欠けた?
小:そう、自分自身も分からないのに、他人の作品を理解してまとめる自信がないのに突っ走っちゃって。
M:前のグループ展は方針あったの、あれ。テーマ。
小:あったよ。初めにコンセプトあったんだけど、どんどん皆がプラスしてくるの。これもやりたい、あれもやりたいって。(最初定めたテーマから)外れだすんだよ。どんどん。それを真っ直ぐにしようとするんだけど、そんな固いこと言ってないでさあ、みたいな感じになってきて。私に力が無いのもあるし。特にM田クンなんて自分が強いでしょ? Tケンとか。いい意味で、すごい意見してくるから。
M:実は小林さんなんじゃないの、一番意見が強かったのは。俺、その(グループ展の)プロセスにたまに顔出してたけど。
小:私? 私か。……そうかも。やっぱ自分をまだ(個展などで)出してないのに、そういうこと(グループ展)をしちゃったから、(自分が)出過ぎちゃったんだよ。なんか、もっとゆったりとさ、皆のことを見れたらよかったんだけど。余裕無かったし。
M:今年のスパイラルは、ジェストスクイップでやるの?
小:ううん、今年は一人でやりたい。やらなきゃな、って。でもジェストスクイップはその後に、またやりたい。その時は、余裕を持って皆のことをのぞきたい。そうそう、前回余裕がなかったの。皆に言われて、もっと余裕を持って、って。でね、いつも泣きそうな顔してた。グループ展は早かった。順番を間違えた。後悔はしてないけど。
M:二〇〇六年は、個展が一番デカいの? 来年の下半期は何かイベントを想定してるの?
小:ううん、年明けから忙しいから。一個やって、それが終わってからはまだ分からないよ。つぶれてるかもしれないでしょ?
M:何が?
小:私が。もしくは自信に満ち溢れてるか。何も変わってないか。そんなの分からないでしょ?
M:自信に満ち溢れてるのはどうかと思うけど。とりあえず、三月の展示会の分はアイデア溜まってるの?
小:溜まってるよ。プロジェクトブックって言うのがあって。なかなか面白いよ。私の考えを空間に落としこんだスケッチがいっぱい描いてある。誰にも見せてない。
M:誰にも見せてない? 危ないね。
小:わら半紙風のノート。
M:じゃあ、小林さんに何か起こったら、それを探せばいいわけだ。
小:プロジェクト、ワン、ツー、スリー、フォーって書いてある。まだまだあるよ。ものすごい数に増えてる。面白いのもあるよ。それを、会社の帰りにカフェにこもってやってる時もある。でね、これ誰にも言ってないけどね、スパイラルの展示会の後、大変だったんだよ。お風呂場で泣いちゃって。
M:そうなの?
小:(去年の)スパイラルの展示会が終わった後に。なんか、自信なくなっちゃって。
M:成績が出た後?
小:成績が出る前も。
M:展示した時点で?
小:何か他の仲間たちの顔がすごい焼きつくの。しかも、その表情に何も意味ないのに、すごい敏感になっちゃって。それで、もう無理だって。私ダメダメだって。器がなかった。やっぱりグループ展やる時って、そういう中心になる人っているでしょ。そういう人は器の大きな、余裕のある人じゃないとダメ。ぜったいダメ。皆(他のメンバー)を殺しちゃう。
M:そんなことがあったのか。
小:だから、来年はゼロから。リセットして、JSとも向き合いたい。

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(*1)デザインフェスタ:年二回開催されているアートイベント。審査はない。http://www.designfesta.com/index.html
(*2)JS:ジェストスクイップ。グループ名。






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> 『おばあちゃんになっちゃうから』(小林さん:05/11/19)
【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2005/11/19) Twitterでつぶやく

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maki abramovic(以下M):その家具の授業ってどれくらい行ってるの。
小林さん(以下小):まだ四回目。
M:週に一回?
小:週に一回。
M:コースのバリエーションって何があるの。
小:知識と制作とデザインと製図。わたしはデザインと製図はもう要らないの、制作がやりたいの。
M:作りたいんだ。
小:日本で家具の学校って存在しないの。デザインの学校って本当デザインだけで、制作ができない。デザインと制作が分かれてて、縦割りなってて。海外はそうなってない。
M:家具やりたいなんて言ってたっけ。
小:一番はじめは家具やりたくて。桑沢(*1)に行ってたときね。で、好きなデザイナーのオフィスが代官山にあって、そこで働きたくて
M:ああ、前聞いた。何だっけ、デザイナーに会う前にその手前のマネージャーかなんかに拒否られたんだっけ。
小:秘書。
M:そのインテリアデザイナーって誰だっけ。
小:△○×◇
M:△○×◇?
小:うん。で、秘書に何でここで働きたいかって訊かれて、△○×◇さんの言葉に魅力を感じました、惹かれましたって答えたら……
M:どういう言葉?
小:何だったかな。家具はスペース自体だ、って。スペースがあって、そこに一個家具が現れるだけで、スペースが色づく。空間がデザインされる、みたいな。そういう言葉に惹かれましたって言ったらさ、秘書に、そんなんじゃダメよって言われて。
M:え、何がダメって?
小:好きな家具を言えって。
M:そんな動機じゃダメだって?
小:意味が分からない、とか言われて。え、あの言葉はそんなもんなの、って思って。ひえええ、って。
M:それ何年前だっけ。
小:五年前。
M:意外と最近だ。んじゃ、その時にもう家具やりたかったんだ。
小:そう。でも、そういうことがあって。で、たまたま流れとかで住宅の方に。住宅はもう二度とやりたくないけど。

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M:今はイベント関係でしょ。
小:イベントは好きなの。舞台とか。あれって残らないでしょ。三日後とかに無くなってるでしょ。あのスピード感が好きなの。
M:あれは? 展示会の準備はしてんの、個展の。
小:してるよ、わたし。
M:会場決めた?
小:今いっぱい情報もらってて。もう気持ちは固まってるんだけど。
M:前のグループ展の引き続きじゃないけど、一応、空間デザインなわけでしょ?
小:展示会さ、やったでしょ。
M:高円寺のグループ展と、あと、スパイラル(*2)
小:嫌になっちゃって。嫌になったんじゃないんだけど。作ったら満足するわけないじゃん。
M:満足しないのが嫌なの?
小:満足しないまま次を考えてっていうのを繰りかえすのが嫌なの。疲れちゃって。あと(作品を)考える時に、自分のやりたいことが頭にいっぱいあって、それを形にするんだけど。
M:形にすると……
小:想像する力が強すぎて。そうすると……。で、他人はどう思うかって。評価とかも気にしちゃって。
M:まあ、スパイラルでの展示会は特にね。賞とかあったし。でも今度は一人でやるわけだから、純粋にやりたいことやればいいじゃんか。
小:勢いでね。
M:勢いで、余計なこと忘れれば。
小:満足するまで考えてから作ったら死んじゃうから。
M:発想が死んじゃうってこと?
小:わたしが死んじゃう。おばあちゃんになっちゃうから。
M:じゃあ、今度は作りながら考えるってこと? 考えて煮詰まってから作るんじゃなくて。
小:自分を信じる。作ってから満足かどうかを考える。勢いだ、勢いが足りないって思って。
M:やっぱり空間デザインっていうか、空間演出なの?
小:空間。
M:空間色づく、か。

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(*1)桑沢:桑沢デザイン研究所。専門学校。http://www.kds.ac.jp/
(*2)スパイラル:毎年スパイラルで行われている「スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ・フェスティバル(SICF)」のこと。http://www.spiral.co.jp/sicf/





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【カテゴリー:小林さんとの会話】 (2005/10/13) Twitterでつぶやく


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【小林さん(小林さゆり)】
http://www.jestsquip.com
☆グループ展などを重ねながら、オブジェ作品や空間デザイン、服・鞄を創作し続けている

・6月生、三重出身、B型
・桑沢デザイン研究所で学ぶ
・05年、第6回SICF出展

     ⇒『糸で絵を描きたい』(10/01/09)
     ⇒『何もなく終わっちゃったあ』(09/01/25)
     ⇒『八十何年あるんだから、この数年なんて』(08/07/13)
     ⇒『あの作品だけは完成させよう』(07/05/05)
     ⇒『展示会は永遠に実験かも』(06/05/28)
     ⇒『わたくしと関係』(06/02/19)
     ⇒『ぶちまけたことない』(05/12/24)
     ⇒『おばあちゃんになっちゃうから』(05/11/19)







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