東京芸術史 ~作家インタビューと、現代アート情報 

東京芸術史

作家インタビューと、現代アート情報

作家たちとの会話と、現代アートをめぐる批評的?あれこれ / 東京芸術史とは?






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> 映画『失恋殺人』 公開直前!監督インタビュー
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2010/04/21) Twitterでつぶやく

窪田将治監督の最新作『失恋殺人』(原作・江戸川乱歩)が24日から、ヒューマントラストシネマ渋谷で公開されます。僕の妄想的解釈では、本作は、主役の宮地真緒さん演じる「セクシー人妻・みや子」と、星野真里さん演じる「ツンデレ探偵・明智文代(※小五郎の妻)」の二項対立とその乗り越えを描いています。

さて、映画をより楽しむために、窪田監督にメールでインタビューをお願いしました。監督からメールの返信がきたら随時更新する斬新wな形式です(※19日に始まり、21日に終了しました)。



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> 『鉄は熱いうちに打て』(巨匠:09/10/30)
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2009/11/09) Twitterでつぶやく

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※今年6月に『スリーカウント』を公開。来年は新作2本の撮影が予定されている巨匠。
※一方で、巨匠含む5人の監督が同じ脚本で「役者の卵」を使って撮影するワークショップも主催しており、これも2月の公開が予定されている。
※録音@渋谷食堂。





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> 『スリーカウント』監督インタビュー(巨匠:09/03/21)
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2009/10/30) Twitterでつぶやく

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※巨匠こと窪田将治監督の映画『スリーカウント』公開@シネマート六本木に先立ち、3月21日、パンフレット用のインタビューを行った(編注:管理人の怠惰と忘却により、長らくアップし忘れてました)。

3カウント

maki abramovic(以下M):女の子たちのキャスティングの条件がプロレスデビューでした。
巨匠(以下巨):100人以上がオーディションにきました。この子に残って欲しいと思うこともあったんですが、そういう子に限って途中で辞めていった。最終的に8人になった時点で本読みをして、次の日には役の振り分けは自分の中で決まっていました。脚本が先にあったんですけど、皆ハマりましたね。

M:主人公・まひるのイメージは?
巨:プロレスラー1年生で、これから楽しくなるんだけど団体がつぶれたという設定です。向上心があって、でも、プロレスがうまくても困る。主役に抜擢した志田光は、練習のときからほかの子よりも動けた。芝居のうまい下手は置いておいて、雰囲気を重視してキャスティングしました。

M:井上京子、田村欣子、さくらえみのプロレスラー3人の演技は?
巨:プロレスだけで生きてきた人たちと、オーディションで選んだ女の子8人が合わさった時に、全体がグダグダになったら嫌だったんです。けれど、ふたを開けると3人が素晴らしかった。
プロとして普段からリング上で四方から見られているから、どうしたらどう見えるというのがよく分かっているんですね。すごいことだなと思い、撮影しながら感心してました。田村さんなんて本読みのときはどうしようかと思ったけれど、結果的にすごく良くなった。本人も努力したみたいですけどね。

M:女子プロレスの応援ムービーですね。
巨:後楽園ホールで井上京子さんの試合を見たのがきっかけです。女子プロに関わる人たちは皆、熱い。こっちも熱くなるんです。何か手伝いができないかなと思いました。
 映画の舞台となる団体は衰退していて、1からではなくゼロ、いや、マイナスから始まっている。それでもプロレスが好きだからやっていくんです。映画の中では最後にスポットを浴びますが、撮影中、出演者たちには「これは一過性のものなんだ」と説明しました。
多くの人に映画を見てもらって、女子プロに注目してもらったとしても、一過性のものになる可能性がある。この一過性のものを自分たちのものにしていくためには、ファンたちの支えも必要だし本人たちの努力も必要。この映画が、女子プロが盛り上がる火付け役になればうれしいです。





M:プロレスシーンはほとんど屋外でしたが、撮影する上でこだわった点は?
巨:こだわりというより、プロレスラーやファンの目を意識しました。自分はプロレスについてマニアなほど詳しいわけではありませんが「こんなの撮りやがって」とは言われたくなかった。プロレスの魅力をちゃんと撮る必要がありました。
 プロットを書きながら、これはアリかどうかと、プロレスラーの方々に確認しました。すると、道場ができる前、マットプロレスがアイスリボンのスタイルだったと聞きました。今でも、プロレスはこんなに楽しいんだというのを伝えるためにマット1つで出かけていく。
 映画では団体がつぶれ、外でやらなければならない。リアリティを出す意味では、プロレスの練習をどこまで踏み込んで描くか考えました。結局、ゲロはきながらの練習までを描くことはしなかった。アイスリボンが実在していることで、リアリティが担保されていると考えたからです。

M:エンディングは見応えがあります。
巨:アクションシーンの見せ方、特にオープニングとエンディングには気を使いましたね。オープニングの練習シーンはリング外の観客の目線。エンディングはリング内の目線で、プロレスをやっている側と一体的になる見せ方です。
 アクション自体は、さくらさんが作り込みました。いじれないですよ。プロにほとんどおまかせでした。
 エンディングは15分弱のアクションシーンで、カメラは基本的に撮りっぱなし。エンディングに向かう気持ちの流れも含めて、出演者たちが一夏をつぶして努力した結晶だから、ノーカットで行けるところまでいきたいと考えた。「100回でもやり直す」と言ってくれたので、こちらは撮影に集中できました。

M:不況に負けない、前向きなメッセージが込められているように感じました。
巨:この作品に限らず、一度決めたら変えないという主人公が好きなんです。あきらめさえしなければ、100年かかろうが実現する。この気持ちを、この映画にも盛り込みたかった。
 経済的にどうのこうの言う前に、どれだけやりたいか、どれだけそうしたいかという気持ちが大切。気持ちがないとプロレスは続かないですよ。女子プロはテレビでも放映されないし、本当にファンに支えられている。エンディングのアクションシーンで描いた観客との一体感。(映画が)あそこに持って行くきっかけになればな、と。

M:プロレスデビューした8人は?
巨:志田と藤本、松本の3人が現在もアイスリボンで活躍しています。ファンがついているんですよ。それが今回の企画の、狙いの1つでもありました。今、女子プロは年に2人ぐらいしかデビューしない。それが去年は、この映画に出演するために10人ぐらいが一気にデビューした。そして3人が残っている。
 これからお客さんに観てもらって、映画作品として楽しんでもらうのと、女子プロ界に貢献できることとが両立できれば。特に女子プロをよく知らない人に映画を観てもらえればと思います。

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> 『ようやっていけてるなあって』(巨匠:08/10/11)
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2009/01/12) Twitterでつぶやく

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巨匠(以下巨):今年は年初めからテレビをはじめてってところから始まってるわけやん。2008年は。それが『スリーカウント』につながった。
maki abramovic(以下M):今年ですか?
巨:去年の年末やな。11月ぐらいから打ち合わせしてて。
M:テレビ埼玉でやるようになった経緯を聞いてませんでしたね。
巨:それは、知り合いが、7、8年ぐらい付き合いがある知り合いがいて。飲み友達や。でも、仕事は一回もしたことがなくて。それで「今度テレタマで番組始めるんです」って話があって「構成台本を書いてくれないか」と。そういう話になって。それで、テレタマやから、そんなに予算もないから、本当小遣い程度やけどって話やってん。
M:ほう。
巨:それで、その人飲み友達で、一回も仕事したことがなかったから「じゃあ、いいですよ」って感じで年末にスタートした。で、それをワンクールやって、次のクールもやろうってことになって、企画を変えて始めた。
M:プロレスありきで?
巨:いや、なしなし。違う。最初は格闘技番組やった。総合格闘技の番組やった。
M:総合格闘技っていう枠はあったんですね。中身を書いてくれと。
巨:そうそう。バラエティ番組がいいと。で、構成台本を書いて、演者はだれだれって決めて。それが3か月ワンクール終わって、次のクールは女の子だらけの番組にしたいっていう話になって。
M:その手の仕事はやったことがあったんですか?
巨:あるある。TVK、テレビ神奈川とかで。でも、おれはもうテレビやんねえって決めた人間なのよ。
M:テレビ神奈川はいつごろの話ですか。
巨:いつかな。まだ早稲田にいるころかな。
M:へえ。
巨:もう、テレビはつまんないからね、基本。でも、古い知り合いやったから、いいですよって。
M:でも、映画につながって良かったですね。
巨:そう。だから、2クール目になって、女の子がいろんなことにチャレンジするって番組になって、3クールに進んだ。で、7・8・9月のクールをどうしようかっていう打ち合わせがゴールデンウィークのころに入るのよ。
M:映画と連動させよう、みたいな。
巨:そうそう、そこで。
M:そういう提案したのは誰なんです?
巨:おれおれ。
M:自分で。
巨:で、毎週毎週しめきりやろ。しんどいねん。リサーチもかけなあかんし。しんどいから、休みたかったのよ、正直。7・8・9月のクールを。で、2クール目の数字が良かったから、次もお願いしますって感じやったんやけど、でも、休みましょうと。どうせ、やっても、大してプロモーションとして成立してないから、どうせだったら、同じおカネ使うんだったら、映画やりませんかって話にしたの。最初はそのレベル。最初は連ドラやろうっていう、30分の連ドラ。ただ、それやと、連ドラやとおカネがかかると思ってたのよ。
M:元とれるか分からない。
巨:テレビだから元取れない。じゃあ、映画がいいんじゃないって話になって。で、そこで止まってたんやけど、井上京子のネオ女子プロレスを見に行くっていう企画を番組で作って、皆で観に行って。おれも初めて。
M:はは。すごい番組ですね、それ。
巨:最初に女の子たちはネオ道場にいって、すると、ベルトをかけた試合がメーンにあるっていう流れで。
M:ははは。楽ですね。その回。
巨:うん。で、そういう流れがあって、その時、井上京子がものすごい素晴らしいことを言った。復帰戦何試合目かなのよ。ずっと休んでて。そこで松尾永遠選手からベルトを獲って。それで、「もう女子プロはダメだ」と。「若い選手も出てこない。誰もいないなら井上京子がまたやるぞ」と。「もう一回頑張る、いいのか」と。
M:若い力はどうなってる、みたいな。
巨:そうそう。それ聞いたときに、熱くなるのよね、ああいう瞬間って。後楽園で聞くと。その瞬間に、「女子プロやりましょう」と。それで番組と連動させて、女子プロレスラーとしてデビューする人間だけをキャスティングしてっていう風にして、それも番組で追いましょう、と。プロモーションもやりましょうって企画をつくって、ボンって出した。そしたら乗ってきて。脚本も1週間ぐらいで書いて、それが通って動き出した。
M:なるほど。
巨:それで、7・8・9月のクールを休んで映画をやって、10月からまた番組が始まったんやけど。
M:入ってんの?
巨:おれは入ってない。
M:いい感じに自分のものにして去りましたね。
巨:大きな枠はおれが決めてんねん。10・11・12月のクールも。映画のプロモーションの一環ていうのと、女の子たちがプロレスラーとしてデビューするまでの道筋と。映画の公開も含めて。
M:映画の公開は決まったんですか。
巨:決まった決まった。でも、まだ言えないのよね。12月19日にまずやることは決まってる。
M:どれぐらい?
巨:1日だけ。それは1日だけ。テレビの最終回に合わせて。ついに完成しました。試写会しましたっていうのを。
M:最終回の放映前に。
巨:そうそう。だから、来年の夏か秋ぐらいやろな。ま、『スリーカウント』はそういう流れ。その間に次の企画をずっと打ち合わせが続いてたのよ。地獄やったよ、8月9月と。
M:撮影と。
巨:撮影と通常業務とで。2週間ぐらい完全に動けなかったから。現場で。そのあおりが、終わったら大変やった。死ぬかと思ったね。


(中略)


M:『スリーカウント』は、どれぐらいの期間撮影したんですか。
巨:ぜんぜん。全部で10日ぐらいかな。
M:それは、誰かが決めちゃうんですか。
巨:予算、予算、こっちで決めた。
M:当初の、企画段階ぐらいのものはできたんですか。
巨:いや、どうやろな、まだつなげてないからな。どうだろう。
M:でも、まあ、作り続けてれば宣伝になりますからね。
巨:そうそう。
M:何もやらないと、世間に対して何のアピールになりますもんね。巨匠はやることがあるから、いいな、と。
巨:ねえ、おかげさまで。
M:トモケン(※小林さんの所属するjestsquipのメンバー。この日の昼、makiはトモケンの展示会を見てきた)だって、苦労はちがえど、展示会ができるんだからいいですよ。小林さんみたいに「来年の4月に」とか「まだギャラリーが決まってない」とか、だって7月にギャラリー探ししてるの同行したんですよ? 何やってたんだと。7、8、9月。
巨:ま、仕事に追われてたんやろう。
M:いや、ほんとあの人たちは、イマドキじゃないんですよ。もちろん、良い意味で僕はとらえてますけど。トモケンは良い作品つくるんですよ。だったら、ホームページあったらいいじゃないですか。ファンができたら、それを見て繋げるじゃないですか。で、きょう「まだホームページ作ってないの?」って聞いたら「作れないんです」って。「分かってるんですけど。そっからなんですよね、分かってるんです、そっからですよね」って。何年も前から同じ話。だから、いろんなものがすべてハードル高いんですよ。
巨:なるほど。おれみたいに「とりあえずやってみよう」というタイプじゃないんだ。
M:人間関係を合理的にハンドリングするとか、ホームページを作るとか、そういう今の10代ならチョロっとできちゃいそうなことが、できないんですよ。
巨:すごいな。
M:でも、良いですよ。あの人たち。作品も。


※9月に巨匠監督の映画『zoku』がDVDレンタル&セル開始


巨:今年も終わるぞ。早いなあ。前、いつ会った?
M:前は、『スリーカウント』の話は全然なかったんですよ。
巨:じゃあ、今年は(録音)やってないんだ。
M:何か新しい映画を年明けに入る動きが、もう、あるんですよね。『スリーカウント』の編集やりながら、次の話が動いている。
巨:なあ! ずっとね、『zoku』がDVDになって、そのDVD出した会社と何かやりましょうって話はあったのよ。自分のところのコンテンツが欲しいみたい。で、やりましょうって言ってて。去年の終わりぐらいかな。
M:順調じゃないですか。
巨:順調というか、まあ、『zoku』が着地したから。
M:DVD出して。
巨:去年の暮れは何も決まってなかったから。3月ぐらいに決まったから。
M:キャリースマイルもデビューして、じゃあ、何やるかっていうところが今じゃないですか(※2人はキャリスマのライブ前に録音している)。
巨:そうやねえ。
M:インディーズですしね。
巨:音楽は大変やからな。
M:まあ、あそこがインディーズ・レーベルって分かってるじゃないですか。で、一応、取材の時に僕はいじわるでマネージャーに「メジャーデビューでいいんですか」って聞くわけですよ。すると「いいんじゃないですか」って。
巨:ははは。
M:でも、僕はメジャーじゃないって分かってるから原稿では「CDデビュー」ってしておくわけです。でも、流通にのるわけだし、メジャーか何てどうでもいいんですよ。
巨:今は境ないよ。やっぱ、売れるか売れないか。難しいよ。
M:CD出すころは、タイアップあったじゃないですか。割と。
巨:あったね、フットサルのとかね。
M:オリコンとかタワレコの新人のとか。でも、その後ですよね。
巨:こないだ(キャリスマと)会った時に、どっかのタイミングで、レーベルをやめないといけない時もあるし、皆を裏切らないといけないタイミングくるから、しっかり裏切れよって話はした。そうじゃないと、今のままだと、あたらんからって。そういう話をした。
M:早く?
巨:いや、まだ、いいんじゃない。ま、CD出せたっていうのは確かに一つの達成やし、大きいから。
M:でも、これから音楽で食べないといけないから。
巨:おれ自身、食えてることが不思議。ほんと不思議。ようやっていけてるなあって、毎日のように思うね。いつ死んでもおかしくない。
M:巨匠みたいに最初からそういう形で入って(経済的な面を並行して考えて創作活動を)やっている人たちって、いないからね。
巨:いない。
M:キマグレンぐらい。
巨:ははは。何、キマグレンって。
M:確か、キマグレンは海の家やりながらCD出してるんですよ。
巨:へえ。
M:ビジネスやりながら。
巨:なるほど。まあ、映画の世界は難しいけどね。でもね、それなりにコバカにされながらやってきたわけやん。才能あるなし以前に、作り続けてきて、それが結果的によかったという話。
M:こうして考えると、会社作ったのは大きかったですね。
巨:ほんとよかった。
M:だって、会社作る前は、正直映画撮れてない時期でしたもんね。
巨:なかったからね。ていうか、仕事に追われてたから。今は会社になったから、外注っていうのが普通に通用するようになった。あと、最初のきっかけでいうと、やっぱ事務所を開いたっていうのが大きかった。フリーのときに。
M:ああ。
巨:まだ、会社じゃない時に、箱を作った。早稲田に事務所を作ったときに、大きく変わったもんね。付き合いが。「ああ、事務所あるんですか」って周りから。「ちゃんとして頑張ってるんだ」っていう風に見える。フリーだけど。で、その後、渋谷に来て、会社にしたら、ますます信用ができてきた。まあ、コツコツやってきたからっていうのもあるんやろうけど。それで実績もできてきたし。
M:そういう面もありますよね。実態が何かっていうのと別のところで。
巨:そうそう。やっぱ見え方は重要視される。だから、でかかったよな。最初は無理して開いたから、あがりで入ったって感じやけど、それが結果として良かった。お客さん呼べる場所ができた。付き合いの幅が広がった。展開としては、事業を大きくしていかなければならないっいうぐらいなもんだわ。
M:いや、でも、小説に置き換えていうと、目標ていうか、日本には本当に新人賞に出すっていう窓口しかないのって思うんですよ。
巨:ちょっとね、かっこいい言い方をすると、映画もそうやけど、あの、小説なんかも、賞のためにあるわけじゃないし、賞のために映画があるわけじゃない。いつかそこに行くっていうレベルやと思ってんのよ、おれ。
M:だから、僕は今、そこのところを何も考えずにやってるんですよ。書きあがったら、焦る必要はないんですけど、その後どうしようかな、と。入口の話なんですけど。
巨:出そうと思えば、いくらでも出せるやん。流通のっけるだけなら。
M:自分で作って、流通のっけるだけなら簡単なんですよ。
巨:そう、簡単簡単。
M:カネさえ出せば。で、自分で売っていくのもありかな、と。
巨:やっぱりね、重要やで。流通にのっけるのって。
M:その、文芸誌っていうのを、読むんですよ? それなりに。でも、そこで小説を読むことはないんですよ。
巨:うんうん。
M:だいたい、対談とか批評とかなんですよ。技術論的な。小説は載ってるじゃないですか。でも、10も20も載ってるじゃないですか。あんなの読む人が一般人にいるのかなった。
巨:いなくはないやろうけど、多くはないと思う。
M:パッケージとして、あれがあるわけじゃないですか。雑誌という形で。あのパッケージが有効なのかなって思っていて。
巨:芥川賞も直木賞も載るし、とか。
M:まあ、ネットっていうのは誰でもできるから、逆にやっても意味がないっていうのもあるんですけど、でも、やはりやれる場所なんですよ。
巨:うんうん。でも、重要なのは、自分に協力してくれるものがあるっていうことの方が重要やと思う。
M:まあね。
巨:だから、100万あるからどうのこうのっていうんじゃないと思う。100万かけて、どっかの文芸社でもいいし、そういう所を使って流通のせれたっていう方が重要やと思うわ。そこからやからね。
M:そういうやり方ね。
巨:自分で作って自分で出すっていうのも重要やけど、ただ、説得力は低いよな。
M:少しでも(カネを出版社に)出させるっていう。
巨:そうなると、前もっての評価が必要になってくるから。難しいというか、門がせまくなる。
M:まあまあまあ。
巨:ま、世に出すっていうことの方が重要やと思うけどな。物を作ってる人間としては。
M:今書いてるのを仕上げたら、そういうことも考えようかな、と。
巨:模索の時期やな。
M:最近、文章を書くことと小説を書くことの違いは分かってきた気がする。
巨:なるほど。おれも通ったからね。で、その後、プロモーションに対してとか、より多くの人に見てもらうためとか、そういう方向にスライドしていくやろうし。
M:ううん。
巨:そういう意味では、キャリスマは立派やもんな。第一歩としてはものすごくいいと思う。

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> 映画「スリーカウント」制作発表(巨匠:08/07/13)
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2008/07/15) Twitterでつぶやく

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※巨匠が監督することになった、映画「スリーカウント」の制作発表記者会見が後楽園ホールで行われた

巨匠:どうも初めまして。監督の窪田です。えー、元々プロレスは大好きなんで、鶴龍や長州のころから大好きなんで、まさかこんな機会に恵まれるとは。プロレスファンの方々に怒られないように、真剣な映画作りをしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

井上京子選手:女子プロレスが盛り上がるためには、何でもしていきたいと思います。そして、今回映画を作ってくださる方々はとても真剣に考えてくれているということで、自分もほんとに一生懸命演技を、そして、時には演技ではないことも本気でやっていきたいと思います。たくさんの人に観てもらいたいと思います。よろしくお願いします。

kyosyo080713-2-2.jpg

プロデューサー:これは、選手の離脱で大会も行えず、解散を決めた埼玉ガールズプロレスリング。団体一の若手である主人公が、団体存続を諦める先輩たちを尻目に一人奮闘し再建を目指すが、プロレスのプの字も知らない素人を招き入れたことで、事態はさらなる混乱を極めることに。さまざまな苦難を乗り越えて、はたして団体再建できるのか。といった(ストーリーの)青春スポーツものです。

『スイングガールズ』、『フラガール』のような、演技を超えた本物の感動と説得力を追及し、演技のためのプロレス練習ではなく、実際にプロレスラーとしてデビューすることが条件としてキャスティングとなっています。(テレビ埼玉の)テレビ番組「Muscle Venus」に出演する新人レスラーがそのままキャスティングされるスピンアウト映画です。

そのほか、団体を最後まで守って選手たちの精神的支えとなる役割に井上京子選手、井上京子選手への想いから他の引き抜きにあいながらも団体離脱ができないタッグチームに、第五代NEOタッグ王者の「仲悪タッグ」田村欣子選手とアイスリボンのさくらえみ選手も出演します。

(中略)日本の女子プロレスは海外でも評判が高い状況をふまえ、カンヌやベルリンなどの海外の映画祭への出品を行い、逆輸入で日本公開を2009年の夏から秋にかけて予定しています。

クランクインが八月二十五日に決まりました。新人たちは(中略)映画出演のために八月二十五日までに(レスラー)デビューしなければならなくなりました。

(中略)早ければ八月三日、十日のNEO板橋大会においてエキシビジョンなどが行えればと思っています。(中略)現状では、誰が主役をやるか全く決まっておりません。


◆制作:ネオプラス&テレビ埼玉、制作協力:FAITHentertainment

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> 『ものすごく早い。二年ぐらい早い』(巨匠:07/11/26)
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2007/11/26) Twitterでつぶやく

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maki abramovic(以下M):トップランナー観ました? 渡辺あや。
巨匠(以下巨):観てない。
M:割ときれいな人なんですね。
巨:うんうん、かわいらしい。脚本家やろ?
M:二児の母ですよ。大学卒業後にドイツかなんかに行ってたらしくて、帰ってきて普通に島根で主婦をしてて、んで、あの、岩井俊二の「しな丼」に出して。それでデビュー。すごいシンデレラストーリー。
巨:才能あるもん。
M:『ジョゼ』と『メゾン・ド・ヒミコ』しか観てないんですよ。
巨:あと何があったっけ?
M:『天然コケッコー』。
巨:あとは?
M:あとは、ええと、何か一本あるんですよ(*1)。タッチの違うやつが。あとDVDでの監督作品があるみたいで。
巨:天然コケッコー面白いらしいね。
M:あの人、いまだに島根在住らしくて。
巨:島根なんだ。
M:で、天然コケッコーは島根が舞台らしくて。
巨:あれね、監督も才能あるからね。うらやましいわ。
M:そうですか。才能がうらやましい?
巨:いや、別に才能があるのかないのかって言われたら話は別だけど。
M:何がうらやましいんですか。
巨:普通にうらやましいわな。そういう表現ができて、とか。そういう面白いの作れて、とか。ま、才能というものがあるとすれば、ね、うらやましいよね。
M:夏にずっと(自分が)小説書いていて、感想が集まってきたんですよ。で、大体言われるのが、キャラが掘り下がっていない、と。確かに自分はキャラの掘り下げということを考えていなくて、まあ、そうなのか、ま、読むとこはそこじゃないよ、とか思ったりしたんですけど。いずれにせよ改善の余地は分かったんですけど。で、渡辺あやの話を聞いていたら、まず、キャラから決めるって言うんですよ。
巨:基本やな。
M:キャラを決めて、あとは自由に動いてもらう。まあまあ、映画としてはそっちの方がいいのかなと思いまして。
巨:でも、小説でも村上春樹にしろ村上龍にしろ、キャラが先だろ。どうなんやろ。有名な作家どころで言えば。
M:どうでしょうね。
巨:だって、決め事ってあるやん。それが職業だったり性別だったりするだけで、それがないと、観客ってさ、人間を見るわけ。その人間を見て、そこにドラマがあるっていうのを観客というか、観客の目線で行けば……。
M:そういう小説はいくらでもあるんで、そっちを読んでもらって……。
巨:ははは。
M:でも、まあ、渡辺あやの話が出て、そういうものなんだろうなと思いながら観てましたけど。
巨:まあね、どこの視点に立つかなんやろうと思うけど。
M:感情移入されて困る小説もあるんですよ。そういう風に読んでもらうと困るっていう。
巨:分かる分かる。でも俺、よく思うんやけど、一回ね、観客目線で書くっていうのが重要やと思う。
M:今回は、今までに比べたら割と(読者に)阿ったつもりなんですよ。それでも、この感想かっていう。今まで話もなかったから話も作って。一人称でバっと書いてとりとめもなく終わる感じのものが多かったけど、今回は一応、全体の構成ぐらい作ってやろうかなと思って。少しは分かりやすく書こうかなと。でも、やっぱ、書いた感がない。なんかちょっと、足枷はめて書いたかなと。作品のクオリティの問題じゃなくて。
巨:俺は足枷があった方が楽しいからね。例えば、俺の場合やけど、どこか決まってるやん、キャラクターが決まってて、こういう話の流れで最終的にこうなると。そのルートを、例えばAからEまで作るとするやん。それらの点は必ず通らなければならない、主人公は。だけど、書いてるうちにあっち行ったりこっち行ったりするわけやん。だけど必ず戻すようにしていく。もちろん、つじつまが合わなくなってきたりするのよ。そこで調整していく。だけど、あまりにも調整しすぎると予定調和になる。その辺のバランスを見ながら俺は作っていくから。で、一回作っておいて、バラしていくという作業。それがバチっとはまればもうそのまま行くけど。
M:そういうやり方。
巨:足枷が合った方が考えるよね。こうした方が面白いんじゃないかとかね、考える。ただ、真っ白い画用紙の上に好きなの描けってぱっと描いただけだと、天才じゃないと無理やね。モーツアルトとかやったら書き直しないし。でも、そうじゃないから。やっぱ何かしらの決め事を自分の中で決めて、やった方が考えるよな。音楽なんかだと曲を先に作るのか詩を先に作るのかでさ、詩を先に作った方が難しいわけやん。
M:足枷になって。
巨:本当は詩先行でやった方が、絶対、良い曲できると思うしさ。
M:ま、そういうのがトップランナーでありましたという話です。
巨:テレビを観ないからな。
M:『メゾン・ド・ヒミコ』観ました?
巨:観た観た。
M:あれで脚本家として一番想定外だったのが、ダンスシーンなんですって。あれはしっぽり社交ダンスを踊るイメージだったのが、ガラっとハイカラなダンスホールに変わったところが、個人的には好きだけども万人に受け入れられるのかという疑問があったと。置いてけぼりにされる観客もいるのでは、という話をしてましたね。
巨:えらいねえ。ちゃんと観客の目線に立って、……ほんとにそんなこと思ってるのかな、そんなこと。はは。
M:あのね、ぽつぽつ喋る人で、真実味がありましたよ。
巨:すごいね。才能がある人間ってすごいね。サインが欲しい。
M:仕事スタイルが良いですよね。地方から原稿送って、たまに打ち合わせで東京に出て。日頃はのんびり暮らしている。
巨:へえ、いいね。何かね、毎日毎日大変やのう。もう年も明けるっていうのに。
M:箱詰めにされてシェイクされてるようなね。
巨:今年は大変やったな。
M:振り返ってくださいよ、一年を。言える範囲で。
巨:まあ、何をやってたんだろうって感じやわ。
M:売名行為は進んだんですか。
巨:はは。失礼な奴やな。
M:会社の方は。
巨:徐々に。まだ、花開かない。
M:前録音したのが五月だから、夏と秋では、来年に繋がる仕事をしてきたんですかね。
巨:うん、まあね、今打ち合わせてるのは全部来年のやからね。まあ、来年どれだけ引っかかって、……問題は山積ですわ。
M:思ったよりは停滞した?
巨:いや、予定通りは予定通りやけど。ちょっと話がでかいからさ。
M:仕事相手がね。
巨:しんどいのはしんどい。本当はもうちょっとゆっくりやりたい。
M:来年の展望は?
巨:はは。いろいろありますわ。
M:いい意味での笑いですか、今のは。
巨:大変な笑い。忙しいくらいですめばいいけど。仕事は普通にするやろう。問題は作品が撮れるか撮れないかの方がでかいかな。
M:今年は撮れなかった。
巨:撮れなかったね。撮るつもりもなかったけど。パイロット版を撮ったぐらいで。
M:パイロット版って何のパイロットでしたっけ。
巨:ショートムービーのオムニバスの企画。
M:媒体は? 劇場とか?
巨:劇場。本体の撮影は来年になるんじゃないかな。
M:会社として受けた仕事?
巨:そうそう。力仕事は力仕事やね。
M:『zoku』のビデオ化はどうなったんです。
巨:あれもしないといけないよね。
M:ポシャってはない?
巨:ポシャってない。俺が動いていないだけ。
M:作品の鮮度ってありますからね。
巨:そやな。そう言われるとそうなんだけど、前も言ったけど、やりきった感があるから。思い出したように「しなきゃいけないな」って言ってる。
M:脚本モノは?
巨:全然言えない。言えない話いっぱいあるわ。
M:前にも言えない話が二個ありましたよね。漫画の原作とか。
巨:権利問題とか予算の問題とか解決してから。
M:ほかにも大きな話があるってことで。
巨:そうそう。
M:シークレットが多いですね。
巨:話すことないんよ。
M:そろそろ暗殺されるんじゃないですか。
巨:はは。
M:映画の話しましょうよ。
巨:映画も観てないのよ。
M:だめじゃないですか。『監督ばんざい』観てないんですか。
巨:観てない。観た?
M:観てない。
巨:はは。『大日本人』も観てない。
M:だって、予告編ひどいんだもの。観る気しない。
巨:『ロッキー・ザ・ファイナル』は観た。
M:どうでした。
巨:ふつう。
M:最近感動したことはないんですか。サイボーグに成り果てたんですか。仕事人間に。
巨:ははは。そやな、仕事人間やな。家賃払わんといかんからな。
M:情緒はどこにいったんですか。心はどこに置き忘れたんですか。
巨:はははは。心はちゃんとあるよ。むずかしいね。……何ていうの、ほかの藝術史に出てくる人たちって自分のやりたいことを探しているか、それに向かって活動中かやん。ねえ、ちょっと俺的には懐かしい香り。ある程度、もう食える状態になって、今度はそれを安定期に入れてって、それで本当にやりたいことをやっていくっていう道筋なわけ。俺は。だから、今が一番つまんないと思うわ。
M:今は石を積み上げている。
巨:そうそう。そうならざるをえなかったという伏線というか布石を積み重ねてるって言ったらいいのかな。だから、今の俺の状態っていうのは、過去からずっとこういう風にしようとやってきて、運よくそういう風になってきたと。それで急に俺の予定を五段飛びぐらいにしている。そのせいで、繕うのが大変になってきている。会社の体裁にしろ、自分の体裁にしろ。
M:なるほろ。
巨:非常に難しい。それがいいことなのか悪いことかも分からない。まだ結果出てないから。
M:再来年ぐらい?
巨:来年にはもう、来年何かしら、今打ち合わせしているものの一つでも形にならなければ、たぶん、駄目だったってことだろうと俺は思うけど。そしたらまた、当初の予定通りに行けばいいだけだから。それは経験として五年後に役に立つかもしれないし。そんなに心配事はない。
M:中途半端にネタ的なことをするつもりはない。
巨:できないのよ。やりたいけど。来年は来年で楽しみだけど。俺がつぶされるのか、ずっと抜けて上がれるのか。
M:前、「才能」をテーマに話してもらったんですけど、今回のテーマは何にしましょう。
巨:テーマは何?
M:「年齢」とかは?
巨:面白いかも。俺ね、最近本当に思うのよ。役者やってる奴らとか色々来るんだけど、必ず言うことは、二十五とか二十六を過ぎてくると、人間変わりづらいのよ。よく言うんやけど。年齢は重要。いかに早く気づいて、いかに早い時期に良い出会いがあるかはものすごい重要やし。三十近くになると変われないから。
M:巨匠は今年いくつです?
巨:(三十)三。で、ある程度年をとっても柔軟に対応できる頭を持ち続けようと俺は気づいたから、まず。
M:変わる余地を残していると。
巨:そう。一回やってみようっと思うようにしている。たぶん無理やろうけどやってみようかと思うようにしている。よっぽど経験していて「もういいわ」っていうの以外は、やろうかなと。で、過去に一回失敗してることとかは、今回はうまくいくようにしようと。クリエーターなんて難しいんやけど、客観性がもてなくなる。年をとればとるほど。
M:年齢の話になると、積み重ねの話やら経験、人との出会いの話になる。
巨:どれにしろ、早いうちに気づくこと。
M:何に。
巨:例えば出会いが必要だと思ったら、出会いが必要だと気づくこと。作品に関して言えば、どんな作品を作ろうとか早めに気づくこと。早めに気づいてそれをやり始めれば、ちょっと違うよと言われたとしても、変えれるから。ただ、ある程度年いってからスライドしていくと難しい。
M:自分を振り返ると、こうしておけばよかったとか、運良くこうやってここまできたなとか、どっちもあると思うんですけど。
巨:結果論として言えば、こんなもんやろと。こうしておけばよかったなという点は死ぬほどある。仕事も映画に対する自分の姿勢も。ただ、俺は自分の方向を決めたのが早かったから。
M:いつごろ?
巨:二十歳ぐらいのとき。
M:二十歳ぐらいのときに大雑把に作ったレールに乗っかってる感じ?
巨:そうそう。二十歳ぐらいに作ったレール。こうやって生きていこうと。色んな人に後ろ指さされながら、やってきて、今がある。その過程のなかで、こうしておけばよかったっていうのはいっぱいある。
M:いわゆる一般的な映画業界の歩みではない路線ですよね。その枠の中では改善点はあったかもしれない。ただ、大枠ではこの道で生きてきて現在のところ着実にきてるかなと。
巨:まあ、こんなもんやろう。
M:今三十三で、十年前の自分のイメージからすると、予定より早いですか。
巨:早い早い。ものすごく早い。二年ぐらい早い。
M:ジャンプしてきてる。
巨:この一、二年ぐらいが早い。会社になってから。
M:三十代は意識します?
巨:別に意識しない。意識したら結婚とか考えるんやろうけど。
M:ものづくりとしては?
巨:もうやりたいこと決まってるからさ、俺。
M:それが結果的に四十、五十になっても関係ない?
巨:関係ない。俺はこういうのを作るって決めてここまできてるから、それを追求したい。欲を言えば、それがヒットしてほしいってところやん。
M:ふくらみましたね。思いつきのテーマにしては。前半はオフレコが多かったから。
巨:根がまじめやからね、俺は。
M:……そうですか?

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(*1)何か一本ある:『約三十の嘘』のこと。共同脚本。





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> 『自分の人生を動かすのは他人』(巨匠:07/04/30)
【カテゴリー:巨匠との会話】 (2007/04/30) Twitterでつぶやく

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maki abramovic(以下M):映画、いつ以来観てないんですか。
巨匠(以下巨):でも、DVDは観てる。『太陽の』なんやったかな。『太陽の墓』、『太陽の墓場』(*1)。違うな。何やったかな。哀川翔の、三池さんと(*2)。
M:それ新しいやつですか。
巨:いや、新しくはないな。DVDで観た。『TAKESHIS’』みたいなジャケット。
M:北野武は新作やるんですよね。
巨:『監督・ばんざい』ね。あれ、ダウンタウン松本の『大日本人』と同時公開。
M:そうなんですか。いつですか。
巨:六月十四か、十五か(*3)。
M:マッチャンのはどうでしょうね。
巨:どうやろね。何年間かずっと撮影してるんやろ。
M:どうひっくり返ったって第二の北野武にはなれないですよ。いくら面白くても、コメディアン上がりの大監督は二人要らないですからね。世の中には、キャラクターとかポジションというものがある。
巨:はは。でも、俺は観るやろけどね。
M:俺も観ますね。
巨:俺は毎日、サプリ飲み続けてるよ。
M:はは。やってないでしょ。
巨:やってるよ。
M:本当ですか。……『zoku』公開から半年経ちましたけど、手応えはどうだったんですか。
巨:ま、それなりやったし。それなりって言い方はおかしいけど。俺ね、個展とかずっとやってたから、ただ、ロードショーって形になったのは良かったんじゃないかと。
M:僕は休日にしか観に行ってないんですけど、平日とか全体の入りはどうだったんですか。
巨:まあ、人の入りは普通だったんじゃない。リアルな話だと黒が出ましたわ、と。そういう意味では成功。FAITHとしても。
M:宣伝にもなりましたしね。
巨:そうそう。まあ、元々のスタートがね、『zoku』のね。暇つぶしみたいなものだったから、ここまで成長するとは思わなかったけどね。最初はちょっと試写会やって終わりのつもりだったから。
M:言ってましたよね、銀座かどこかで。
巨:八丁堀ね。リトルシアター。それが、五十回ぐらい回してくれるっていうんだから、良かったっちゃあ良かった。疲れたけどね。
M:上映の前のプロモーションっていうのも、映画の大きな仕事ですよね。
巨:最初、斉藤(プロデューサー)が公開を年内にやりたいって言い出したときに、それが(二〇〇六年)九月ぐらいに言い出して、ちゃんと動き出したのが十月ぐらいのよ。チラシ作ったりとか。言い出したときに、個展とかやってきて俺分かってるからさ、時間ないよって、足りないよって。あと二ヶ月は必要やろうって。今やりだしたら来年二月ぐらいになるよって話はしたんだけど、でも、どうしても年内にやりたいと。じゃあ、まあ、いいかと。客はあまり入らなくても赤字にならなければいいか、と。やってみれば、金は出すよって言った。で、あいつも頑張って黒字になったから。もう二ヶ月あれば、もっと客が入ってただろうけどね。
M:個展とは違いますよね、やっぱり。
巨:全然違う。ま、個展の方が大変だわ。だって、俺の個展って金取るからさ。普通、個展って金取らないでしょ。個展の方が金かかってるんじゃないかな。多分。
M:映画見せるよりも? 個展はどういうスペースでやってたんです?
巨:渋谷の、何で渋谷にこだわってるんやろね、俺。渋谷のギャラリー・ルデコってとこで。
M:どういう用途のギャラリーなんです。
巨:普通の写真展とか、芝居もたまにやったりしてる。そこで、やってたな。三回か、二回か。もう覚えてない。その時は単独だから、大変は大変。今回はそうじゃないから、楽だった。まあ、良かった。色んな意味で。
M:その後、半年間はどんな感じだった?
巨:仕事。二月は暇だったのよ。で、その時は本を書いてた。脚本を。
M:あの、例の?
巨:そう。まだ言えないけど。
M:例のって、どっちのです? 自分の。原作モノの?
巨:そう。まだ詳しくは言えないけど。
M:前ちょこっと聞いたやつですよね。脚本だけ書いてる方は?
巨:それも言えないことがいっぱいあって。

※オフレコーディング3分間

M:要するに様子見ってことですか。
巨:そう、様子見。
M:もう一つ、自分で原作モノやってるんですよね。
巨:それは動くやろね。
M:今年中に?
巨:今年中は物理的に難しいわ。俺のせいやけどね。仕事で忙しい。
M:向こう何年間でできればいいかって感じですか?
巨:来年やろね。これも言えない話なんだけど。

※オフレコーディング5分間

M:いろいろ画策中ってことでいいですか?
巨:はは。そういう風にしておいて。今までと違ってさ、俺動くと会社も動くからさ。余計なことまで考えないといけない。
M:作ってるだけじゃなすまない?
巨:そうそう。多分、この五、六年かも分からないけど、俺のイメージしたスタイルに到達したとすれば、好きなことやっていける。好きな作品だけ撮れると思うわ。まずは、自分が好きなものを作れる環境。
M:今回のインタビューのテーマですからね。自分の形で映画作りをする。
巨:そうそう、俺はずっとそれを追いかけているから。すごいよな。こうやって記録してさ、最初から言ってることが実現したらすごくない? すごいよな。ま、そのために頑張ってる最中やな。
M:五年くらいを見越して。
巨:その間には、バジェットムービーと言われるものも一本ぐらいはやるつもりだけどね。俺なりに。今最もバランスの難しいところなのは、まず最初に売り出すのが、会社の名前なのか自分の名前なのか。難しいのよ。
M:監督の名前はついてくるって考え方でいいんじゃないですか。
巨:会社の名前を売り出すのはそんなに難しくはない。監督は俺じゃなくてもいいわけやん。ある程度の、一億、二億のバジェットで、実績のある監督でやっちゃって、うちが制作プロダクションで入って。
M:実績ある監督って言ったって、監督の名前で映画を観るのって、ほんと一握りじゃないですか。
巨:ハリウッドほどはないよね。スピルバーグだから観るとかって。
M:北野武とかマッチャンは別として。『リンダリンダリンダ』の山下監督(*4)だって、新進気鋭って言われても、一消費者からすれば、山下監督だから観にいくっていう姿勢はない。そういう意味では、……自分でやったらいいんじゃないすか?
巨:はは。軽いなあ。
M:そこが目的だし。
巨:結果的に自分でやるよ。でも、その前にまずは、会社の信用の問題もあるし。その辺も含めて戦略を立てないと。
M:その先に自分のやりたいようにできるようになればっていう。
巨:そうそう。自分が本当にやりたいことを目的とするならば、会社という箱は絶対的に必要。ただ、その会社っていう箱をどう使うか。会社に限らずそうだと思うよ。自分に資本力あれば、スポンサーに頼る必要ないし。自分で勝手に椎名誠みたいにやっちゃえばいいんじゃない。自分のやりたいことをお金にするのが一番難しい。
M:映画ですからね。映画はコストかかるからな。会社がしっかりしていた方がいいのかな。
巨:微妙やけどね。けっきょく自社製作となると、体力ないと難しい。ミニマムな、『zoku』みたいなのだったら採算取るのがそんなに難しくないことはハッキリしたから。
M:ミニマムで多くとると。
巨:それか、世界的に考えようとするならば、ある程度のバジェットがないとプロモーションできないから。
M:プロモーション費だけになってしまう。制作費といいつつ。
巨:ほんとそう。
M:リスクヘッジは難しいですよね。映画は、だって、良い作品が売れるわけじゃないですからね。
巨:映画は面白いけどね。本当に面白い。しかも、自分がプレーヤーだから尚更だよね。やっぱりプレーヤーは逃げてはいけない。そう思ってて、そこはリアルに考えないといけない。
M:巨匠の過去の作品からざーっと観てきたわけじゃないから、何とも言えないけれども、会社運営のなかでは『zoku』はキーになってますよね。作品としてはどう思ってるんです?
巨:まあ、あれはあれなんちゃう。スタートが俺が見た夢やん。リハビリのつもりやったのよ。その前の作品から四年か五年経ってるから、リハビリのつもりでやったのが、結果的にこうなったというわけで。それこそ、最初は試写会で終わらせるつもりやったから。
M:鮭山さんはクローズアップされましたよね。
巨:あれで、サーモン鮭山はかなりの知名度になったと思うよ。彼の今後の人生でけっこう大きいと思うよ。次の作品も出るだろうしね。放っておいても出さざるをえないよね。そういう意味では、出てくれた役者へのお礼返しもあるから。
M:ちゃんとギャラのつくものを。
巨:変な話ね。もっとバジェットのつくもので呼んであげたい。石井里佳なんてミュージシャンなんだから、曲使ったげた方がうれしいわけだし。ま、まだ『zoku』が着陸してないから、飛んでる最中だから。DVD化されて、全国流通されれば。
M:今回のインタビューのテーマは「才能」なんですよ。こないだの海里も「才能」をテーマにやったんですよ。まずは漠然と自分の才能についてどう思ってるかと。
巨:俺は才能ないからね。
M:巨匠、じゃないですか。
巨:誰も言ってくれんから(自分で)言ってるだけで。俺ね、昔は自分は天才やとか、ね、自分で言ってそういう風にしようとしてた。でも、ある時ふと思ったわけ。才能ってなんだろうと。俺って才能あるのかって。最終的に気づいたのが、もし俺に才能があったら、二十代前半でもうバジェットのある映画撮ってると。もちろん、大器晩成という言葉もある。だけど、本当の才能っていうのは続けられるかられないか。一つのことに対して。
M:けっこう一貫してるんですね。サプリの話と。
巨:はは。だからサプリにこだわってる。
M:つながってるんですね。
巨:続けられるか、られないか、それに尽きる。やりきれるか、やりきれないか。どんなにクオリティ低くても良い。だけど、一つのことをやり遂げると、やり遂げたことが一つの達成や。また、次の作品でも同じことができるのかと。できれば達成。それを何回もずっと続けられるのか。それが才能だと思う。続けることが重要だと思う。
M:映画だと技術やノウハウが必要じゃないですか。そのノウハウを越えた部分、色が才能だと考えると、どうですか。
巨:そうやね、それはけっきょく経験だと思う。続けるっていうことが基本で、その中で、自分の枠を超えられるのかっていう部分がでてくる。だから、ある程度、到達しないと、そこまで行かないと思う。レースでも、FJからあるわけやん。F1に到達して、初めて三百キロを超えるスピードを体験することができる。そこに到達しないと分からないことって、いっぱいあると思う。それと一緒。自分のスピードの枠のなかで、どれだけやれるか。
M:世の中知らない段階で自分が天才だなんて言っても、口だけだと。
巨:そうそう。ただ、それを言い続けるパワーっていうのは必要だと思う。
M:大枠としてはよく分かる。ただ、例えば文章書いたりしていて「ああ、こんな言い回しを思いついた」とか、他の人の作品を観ていて「俺ならこうするのに」っていうのはありませんか。
巨:そういうのは片鱗。
M:片鱗?
巨:そういうのを思いついたとしても、良いか悪いか分からないやん。いい文章を思いついたとしても、それは片鱗。それを磨くかどうかの問題。その磨き方を間違えちゃうと崩れちゃうよと。いいものを考え付いたら、その時点での到達点なんやろう。片鱗や。
M:着実な意見ですね。
巨:でもね、続けることをリアルに考えると、行きつくとこはそこだと思うは。
M:才能ってものはあると思います? 自分がってことではなく。そもそも世の中に。
巨:こいつはすごいなって思うことはあるけど、そいつにとっての才能なのか、俺にとっての才能なのか分からん。才能ってバロメーターがないやん。だから、俺はこいつ才能があるなと思っても、他の人から見たら違うかもしれん。それは感性や。『ジョゼと虎と魚たち』の中で、ジョゼと妻夫木君がいつも一緒にいたけど、急に会わなくなる。で、ジョゼが教科書とかいっぱい拾ってきてたやん。その一つに何とか君って名前があって、その教科書の持ち主が同じ大学のサークルに入ってきて(妻夫木が)ジョゼを思い出すシーンがあって、うわ、こんな思い出し方があるのかって。
M:あれ、良いシーンですよね。笑いながら怒る。
巨:そうそう。あれとかさ、この脚本家はすごい才能があるなと思う。すごいな、こんな書き方して、とか。でも、気づいていない人が多いわけやん。それに気づくまでの過程っていうのがあるわけで、俺はそれまで何本も映画を観てきたから、それに気づける域に達したのかもしれないし。その辺とかは、ものすごい微妙なバランスで成り立っている。自分の撮ってきた作品で、ものすごいの作ったなっていう瞬間は過去も振り返って一回もない。面白いって言ってもらったことはあるけど。けっきょく、続けなあかんねん。
M:続けないとね。
巨:自分を動かすのは自分だと皆思ってるけど、そうじゃなくて、けっきょく、自分の人生を動かすのは他人なのよ。人との出会いによって人生は変わっていくから、色んな人との出会いで右に行ったり左に行ったりして。で、人生の中で二、三回だろうね。自分で自分のハンドルを切ろうと思うのは。人に出会う才能っていうのがあるかもしれない。
M:才能っていうのは自分のなかでの問題だと、ふつう思いますよね。
巨:映画撮るなら天候に恵まれる才能が必要だし、雨男は撮影が進まないしね。いろんな才能が必要、映画は。良い役者に出会えないといけないし。
M:なるほろ。
巨:斉藤(プロデューサー)がさ、十年ぐらい知ってるから、あいつが十代の頃から知ってるからさ。あいつは俺がこういう風にやるって言ってずっと動いてるのを、ずっと見て来てるわけ。それでね、最近、ものすごく怖がってるのよ。ルービック・キューブが一つずつカチャッカチャッってはまっていくのが、リアルに見えて怖いって。本当、そういうもんやと思うわ。俺も思うもん。ああ、ようやくハマリだしてきたなって。
M:今みたいな才能の考え方っていつからです?
巨:二十代前半から。まったく変わってない。映画をやろうって考えた時点から、まったく変わってない。

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(*1)『太陽の墓場』:大島渚監督作品、1960年。
(*2)哀川翔の、三池さんと:三池崇史監督、哀川翔主演『太陽の傷』(2006年)のことか
(*3)六月十四か、十五か:北野武監督の『監督・ばんざい』は六月二日公開。
(*4)山下監督:山下敦弘監督。





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> 『日本映画学校9期生対談』(巨匠:06/11/26)
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※巨匠作品『zoku』(57min)が、11月25日~12月7日に渋谷UPLINK FACTORYでロードショーされた。以下は、二日目上映後のトークショー。

maki abramovic(以下M):連日イベントやりますが、二日目の今日は日本映画学校の卒業生の対談ということで、私が今日司会をつとめさせていただくmakiといいます(どもりつつ)。よろしくお願いします。左から監督の窪田将治さん。
巨匠(以下巨):よろしくお願いします。
M:次に主演のサーモン鮭山さん。
サーモン鮭山氏(以下鮭):シャーモン鮭山です。
M:続いて、映画家の菱沼康介さん。
菱沼康介氏(以下菱):菱沼康介です。どうも。
M:簡単に、三人の間柄を説明しますと、ご存知の方も多いと思いますが、日本映画学校という有名な学校の卒業生で、日本映画学校というのは今村昌平監督が設立した学校で、三池崇史監督やら阿部和重さんやらウッチャンナンチャンやら、錚々たる卒業生がいて。監督と主演のサーモンさんが卒業生ということで。
巨:菱沼もやで。
M:菱沼さんもね。今回、(監督の窪田氏と主演のサーモン氏だけでなく)卒業後も活躍されてる菱沼さんにも来ていただいて、鼎談していただこうということで。……僕も座らせていただいて。
巨:(makiに)緊張してんなあ。
M:はは。とりあえず、時間がないんで監督とサーモンさんは映画の関係者ですから、菱沼さんにですね。同期生として(『zoku』は)いかがでしたか。
菱:良い意味でイラっとしますね。ああ、(サーモン氏演じる山本の)存在自体が気持ち悪くて良かったなと。あれが監督の狙いなのか(サーモン氏が元々)持っているものなのか。逆に付き合い長いせいで、本当は気持ち悪くない男なんでね。あれが演出と演技で引き出されたのであるならば、本当に良い意味で、役者の存在で気持ち悪くなるのはなかなかない。こういう映画を観るのはないだろうと。そういう意味では、面白かったですよ。
M:サーモンさんは、変態役では右に出る者はいないという。
鮭:ごく一部でね。本当に映画界の片隅なんですけど。よくピンク映画とかVシネマの方で五十本ぐらい出させていただいてるんですけど。ネットの書き込みなんかを見ると「ピンク界で変態役ではこの人の右に出る者はいない」なんて書かれてる場合があるんですが、どうしてなのか分かりません、まったく。
M:ピンク映画と今回、主役をされて、演じ方の違いとかあります?
鮭:まあ、撮影日数が長いということですね。ピンク映画だと三日撮りが企画なんで、Vシネマも短くなってて低予算だと三日ぐらいで撮ったり。そうすると、その場で一人一人に与えられた時間は短くて、僕の出番が一日とか二日とか、短い期間で出し切らないといけなくて。『zoku』の場合は、飛び飛びで撮ったんで、いろいろやりながら変えていくことも遊びもできた。
M:窪田監督は、同期生の菱沼さんがご覧になりましたけど。どういう所を見せつけてやろう、とかは。
巨:はは。別に見せつけてやろうとかはないけど。
M:(菱沼さんは)映像界の方だから、やっぱり、ほかのお客さんとは違う見方をされたと思うんですけど。
巨:良い意味で同期ですし、映画学校時代の。で、良い意味で二人とも仕事やってますから。刺激にはなりますよね。菱沼も今度、十二月に一本撮りますし。頑張ってる奴が近くにいると、こっちも頑張る気になれるなと。かといって、意識して、菱沼よりも良い映画を撮ろうとかそんなのはないですけど。やっぱり、自分が撮りたいものをやるんですから、それが菱沼テイストだったり俺テイストだったりするだけの話で。
M:せっかく日本映画学校の卒業生三人そろったんで、学生時代のことを聞きたいんですけど。サーモンさんと菱沼さんに聞きますが、窪田監督はどんな学生だったんですか。
鮭:基本的に学校に来ない。見たことがほとんどない。実習ではなぜか監督してるという。当時はまだデジタルビデオ世代ではなかったんですよ、僕らは。だから、一人が一本撮るとか、そういう世界なんで、ゼミのなかで選ばれた人間が実習を作ると。例えば、一つのゼミで二つの班があって、で、監督が選ばれるんですよ。だから、企画や脚本をどうやって書くかが勝負になるんですが、彼は来てないくせに何故かいつも監督やったり中心人物にいると。そういう嫌な奴でしたね。
巨:ものすごい嫌われましたからね。本当に。
菱:知らないんだよ。ほとんど見たことがない。行事があって、何か集まると(巨匠が)いる。記憶がないの学校時代の。作品は覚えているけど本人の印象がない。作品は見ますから。当時はガーと十個ぐらい作品が並んだときに「俺のが良いはずだ」と思ってるときに、見たことのない奴が撮って。
鮭:むかつくでしょ。むかつきますよね。
菱:学校の実習は毎回出てるからね。
鮭:そう。学校の授業料を集めて実習代にしてるんだから。それを、学校に来ない人が撮るってのはどういうことだと。
巨:じゃあ、俺を選ばなければいいんだけどね。
鮭:そうだよね。はは。
菱:実力でしょ。はは。

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M:逆に、窪田さんは二人をどう思ってたんですか。
巨:僕はあまり学校に行ってなかったんですけどね。映画学校に週に一回か二回しか行ってないんですけど。サーモン鮭山とは細野監督のゼミで同期で。
鮭:『竜二 Forever』とか『シャブ極道』の細野辰興監督の。
巨:最近は『燃ゆるとき』って中井貴一さんの映画を撮ってますけど。そのゼミで一緒で、その時も現場で一緒になったことはないんですよ。当時、ドキュメンタリーをやってて、僕の班とサーモンの班と分かれてて。これ、中村でいいんですかね。
鮭:はは。(客席に)本名「中村」なんですよ。
巨:やりにくいんで中村で。で、中村班と俺の班で。そういうことでは話し合うことはありましたけど、プライベートで遊ぶっていうのは一回だけ。その一回も頭数合わせでコンパに誘った、その時ぐらいですかね。
鮭:それだけですね。
巨:あと、菱沼は、僕は菱沼の作品を見たのは『したたかツバメは南下中』。これは脚本は中村が書いてて、それを監督したのは菱沼で。そこで二人はすでに付き合いがあって、それを見たとか。だから、まともに菱沼を知ったのはPFFでグランプリを撮ったとき。
M:ぴあの。
巨:グランプリ撮ったとき、まともに真剣に見た。
鮭:2002年でしたっけ。
菱:2002年の回。
鮭:2002年のPFFのグランプリです。
M:菱沼さんがグランプリを獲った『つづく』。これ、漢字にすると「続」になるわけですけど。
巨+鮭:はは。
菱:『zoku』ってそういう「続」なんですか。きょう一番聞きたかったのは、『zoku』っていうタイトルが、きょう見ればそれが解けると思ってて。
M:監督、いかがですか。
巨:いろんなzokuという意味があって、風俗の「俗」とか。一番強いのは盗賊とかの「賊」なんですよ。山本っていう役は。もちろん続くっていうループの「続」もあるし。多分ですよ、この山本っていうのは。
M:今回、脚本が完成されたのが渡されなかったと。
鮭:面白い作り方でね。脚本は最初渡されなかったんですよね。設定だけ聞いて、あとはその日撮る分の所だけ聞いて、俺も分かんないんですよ。まあ、イギリスのケン・ローチ監督がこういうやり方をするんだけど。
菱:今は方法に名前がついて「インプロヴィゼーション」って。
鮭:あとはキアロ・スタミとか。
M:全体像が分からない中で俳優たちは演技しなければいけないわけで。
鮭:そうなんですよね。
M:『zoku』のコンセプトなんぞ聞かされるわけもなく。
鮭:そう。だから、結末が見えないんですよ。だから、その場の直感でやるしかない。直感でやって、後で見た時に、俺、この表情してるけど、これはどういう解釈なのかって。
菱:順撮りはしなかったの。
巨:最初は順撮り。あの、途中で再撮とか増えてきて、しょうがない、脚本見せるかって。それで抜き撮りとか始めた感じですね。
鮭:基本的には、脚本がない場合は順撮りでいきますけどね。
菱:そうやね。じゃないと役者は、イメージしたくても分からないから。
巨:でも、サーモン鮭山には最後まで見せたくなかったんですよ。
M:どういうことです?
巨:人間って訳分からない奴が一番怖いんですよ。何をやるか分からない。どの瞬間、どういうことをやろうとしているのか。理由がないのが一番怖いんで、そういうのになって欲しかった。
鮭:その意図は途中から感じてたんで、そういう風にしようとは思ってましたけど。
巨:うまくいってるんじゃないかなと、気持ち悪いし。
鮭:ある意味、動物パニックムービーですよね。
M:菱沼さんは撮影のプロセスも気にしながらご覧になったんじゃないかなと思いますが。
菱:一応プロとは言っても、見るときは一観客でいようかなと。もちろん同期が監督で主演していれば、違うところが気になりますけど、なるべくフラットにフラットに同じ目線で考えようと。難しくてほとんどできてませんけども、そうじゃないと、裏がどんどん分かってきちゃう。「カット割りずれたな」とか思っちゃうと、ずっと撮影がこう大変だとか分かってきちゃう。それを考え始めると面白くない。いかに周辺シェアみたいなものを排除して、中心シェアで絵を見るか。それで家に帰って、あれってどうだったんだろうなと。後で多分、電話をする。
鮭:抗議の電話ですか。
菱:いや、励ましの電話。
M:せっかくトークショーって形なんで、その電話の話の内容を。
菱:それは励ましの電話の時に。でも、上映が終わるまではどうしよっかな。
巨:(会場に)二回ずつ来てください。ほんと、お願いします。
M:今回、卒業生こうやってサーモンさんと監督がコラボったわけですが、菱沼さんは今度、三人でこういう仕事できればなってあります?
菱:機会があればね。
鮭:そうそう、(以前に)脚本と企画やったりとかもあったし。
菱:まだ(自分は)「FAITH」に、一応いるんだよね?
鮭:僕も使ってもらえばいつでも。
菱:(サーモン氏に向かって)出てもらってるしね。(巨匠に向かって)プロデュースしたこともあるし。一応、からみはあるんですよ。

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鮭:(三人は)やってることは全然違うよね。(巨匠に向かって)この人は映像制作会社の社長になって、株式会社を設立したんですよ。僕はピンク俳優で、(菱沼氏に向かって)この人はPFFでグランプリ獲って、今、監督準備中。皆、ある意味、ばらばら。
巨:立場はそうですね。
M:三者三様で映画に関わっていると。
鮭:関わり方はばらばらだけれども、まあ、目指すところは映画を撮りたいと。
M:サーモンさんは(『zoku』の」)予告編でもありましたが、『ソウルメイツ』を撮影中で。監督、主演の。
鮭:同じ人間がやってることとは思えない。さわやかな。
巨:はは。「夢を貫きたいなら就職なんかするな」って。ちょっとオモロイ。
鮭:俺、ああいう役やったことない。はは。自分でやるにあたって、ハードルを高くして今困ってる。俺だけがミスキャストだったという。
巨:ミスキャストって言っても、ワンシーンだけなんですよ。他のシーンは案外はまってる。中村本人も、編集しながら笑ったらしいですよ。
M:監督主演はあこがれますからね。
菱:あこがれるのか。やりたくないものの一つですよ。
鮭:ああいう竹中(直人)さんみたいなやり方は、ちょっと無理だなと。スパイク・リーぐらいがちょっといいかなと。チラっと出るぐらいが。
M:菱沼さんも来月からクランク・インで。長編デビューで。商業用としては。
菱:商業用というか、仕事としては来ました。
M:今回の作品が刺激になるのでは。
菱:刺激にはなりますよ。もちろん。
M:役者たちが訳も分からず演技するとか。
菱:それはないです。本はあるので。
巨:話云々言ったらキリがない。請け負いはね。
M:そういうわけで、サーモンさんも菱沼さんも劇場公開を目指すと。
鮭:来年ね。『zoku』みたいな感じでできれば。
M:同期3人、良い感じの流れですね。3人とも映像科ですよね?
鮭:映像科と俳優科があって、俳優科の方はお笑い芸人が多くいて、ウッチャンナンチャンとかドロンズさんとか出川さんとかバカリズムさんとか。僕は映像科ですけど、まったく俳優になるとは思いもしなかった。
M:サーモンさんを使う上で、やりやすかった、やりにくかったとかは。
巨:最初から本を渡してないんで、もう、すべてを僕に預けてくれって感じでしたね。役者の顔もあるんで、もう、分かってるんですよ。監督が役者にうだうだ言うなとか、分かってるんですよ。だから僕も言わないし。ものすごいやりやすいですよ。演出経験もあるし。
菱:演出が自分できる役者は、助かるよね、演出家側から言うと。
M:菱沼さんは公衆の面前で突っ込んでおきたいなということはないですか。
菱:はは。いやいや、今日は良い刺激をもらったな。ありがとうと言って帰りたい。
M:あれも演出なのか、ナチュラルなのかって部分はありませんでした?
菱:本人を知ってるがゆえに、皆さん、役柄と本人を混同して考える人が多いけれども、三分の一ぐらい、混同していいのは。
鮭:変態役の人は変態なんじゃないかと思ってはいけませんよ。自分が変態の部分をデフォルメするわけですから。そこ重要ですよね。これもいつもピンク映画でやってる変態とは違うわけです。こっちは割と変人で。自分のいろんな部分をデフォルメしていくってこと。
菱:友人だろうと、ここは演出されてるな、と思い。ああ、良い刺激になったなと、ありがとうとしか言えない。
鮭:これまで使ってもらった監督とは違う部分を引き出してもらってるっていうのは僕はありますね。
巨:やりやすいっていうのに越したことはないですよ。演出する側からすれば。もちろん役者に演出つけるのは楽しいですよ。でも、キャラクターによるんで。そのバランスですかね、僕の場合は。菱沼なんかは、完全に被写体の、役者の良いとこしか引き出さない。だから、会話に力入れるんですよね。
M:最後、映画学校に話を戻して。これから映画学校に入りたいって人が、もしかしたら会場にいるとして、学校に求めるべきものと求めるべきでないものは何か。
巨:学校だけじゃないですけど、組織、対組織でもそうですけど、自分のやりたいものを撮ろうとすると、障害があるんですよ。けっきょくは。自分で会社つくったとしても、規制は入る。予算やらロケの問題やら。核さえ失わなければいい話なんで、余裕です。
鮭:うーん。学校出た出ないは関係ない。特に今はデジタルビデオ時代なんで。人脈つくる場でしかないかなと。自分を磨く場かなと。もちろん映画を観ないとだめですよ。映画観ないで映画監督なりたいって奴がいるんですが、まったく信用できない。映画以外の文化も吸収しないといけない。恋愛とか。ほんと、自分が大事ってことですかね。
菱:古いテーマでいきます。映画を作るとなったら、学校であろうと学校でなかろうと、縁ができるわけですよ。映画を一本作るぞってなったら、何となく、縁が生まれることがある。そこに、ただ意外と、人間面倒くさいんで、学校だと、一応、この人たちは同じ方向を向いているんだな、と思える。説明しないで済むんですよ。学校来てない人が撮ってると。あの人面白いなと。あのカメラ、誰が撮ったんだろうと興味を持つ。そういう意味では、学校という場をどう使うかだと思う。その線をつないでくれる人が、たまにいるから。うちの学校では故今村昌平先生、故今村昌平監督が、そういう意味で学校をみせたっていうのは尊敬に値すると思う。
M:窪田監督も次の作品にとりかかると思うんですが、お二方も監督作品が控えていて、今後も続々と公開されると思うんで、皆さん、劇場に足を運んでいただきたいと思います。

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> 『続けられるかが問題やわ』(巨匠:06/08/12)
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巨匠(以下巨):最近、全然読んでないわ。東京芸術村。更新してるの。
maki abramovic(以下M):小林さんの更新しましたよ
巨:それは読んだ。展示会やる、とかいうやつやろ。
M:いや、やった後のやつです。
巨:いつ更新した?
M:先月ぐらい。
巨:あの、前のやつかな、友達が来てて二人でやろうって。あれ読んだときに、ああ、懐かしいなって思ったんやな。
M:いやいや、小林さんは、今でもやってるわけですから。
巨:(行為というより)あの感覚がさ、俺は何年も前になくなってしもたわけ。
M:感覚で言えば、俺より若いですから。だから偉いんですよ。あのモチベーションを持ち続けるのって、やっぱり仕事しながらだと大変だし。
巨:確かに、仕事になってまうと、もう、難しいな。ものすごく。楽しいことは楽しいんだけども。(小林さんは)すごいな、と。あのクリエーターの姿勢っていうのを、若い姿勢っていうのをさ、久しぶりに見たな。
M:『日本以外全部沈没』の話しましょうよ。映画の話。
巨:ははは。だって、俺、どっちも見てないもん。
M:星新一がどうのこうの、っていうところから始めましょうよ。
巨:はは。あまりにも、皆が知らないから。
M:まあ、知ってるんでしょうね。もう、俺はほんと最近、エンタメ情報にうとくて。
巨:俺もぜんぜんうといわ。というか、うとくないものが最近ないわ。全部うといわ。
M:それ問題じゃないですか。
巨:ものすごく問題。何なんやろね。映画もうといし。うとくないのは自分についてぐらいで。
M:前に録音したときは、四月ぐらいに試写会やるって言ってたじゃないですか。
巨:『zoku』の話?
M:そうです。急に仕事の波に飲み込まれて試写会も延期しちゃってますけど、何が起きたんです?
巨:ああ、そやね。
M:だって、仕事が増えるって想定していれば、四月に予定しないじゃないですか。
巨:しない、しない。俺、何してたんやろ。仕事ばっかりしてたことは間違いないのよ。
M:仕事が一度に降ってきたわけですか。
巨:仕事が重なって。もう、お蔵入りでもいいんだけどね。
M:もったいないんじゃないですか。
巨:俺的にはもう満足してるからね。
M:ネットで公開したらいいじゃないですか、お蔵入りするぐらいなら。
巨:でも、六十分をさ、ネットで…。
M:『GyaO』で皆観てますよ、五、六十分ぐらい。
巨:うそ、観るもんなの?
M:だって『GyaO』の番組って、どれも尺はそれぐらいですよ。
巨:タダで見せるってのも、むかっ腹立つやん。
M:お蔵入りするよりはいいって話で。
巨:そやね。でも、まあね、試写会はS藤がやってくれるからいいわ。自分でやるのは無理やわ。疲れる。ま、けっきょくはモノ作ってるから、観客に見せて終了なわけやん。でも、何ていうのかな、何人かには見せてるしな、見たいっていう人には。ただね、どうなんやろな。むずかしいけどな。ほんと。やらないといけないことは、やらないといけないんだよね。それじゃないと、完結しないから。
M:そうですよ、今年中にやってください。
巨:ほんとは今ごろ、新作撮ってる予定だったから。
M:そう言ってましたよね。事務所移転は何かあったんですか。契約切れて、ですか。
巨:契約、単純に。会社も株式になったから、ちょうどいいし。渋谷やし。
M:渋谷やりやすいですか。
巨:クライアント多いしね。
M:どうして事務所は、(サーモン鮭山氏らと)三人でシェアすることなったんです。
巨:お金やすいしね。ほんと経済的な問題やね。
M:皆さんクリエーターでしょ、相乗効果はないですか。
巨:あるある。やりやすいよね。手伝ってくれるし。
M:(サーモン鮭山氏の)『ソウルメイツ』のプロデューサーなんですよね。
巨:ははは、一応ね。俺は言ってるのよ、そろそろ、やってくれって。撮影止まってるから。でも、あれ、撮影開始が三月だから(再開するなら)冬の方がいいかもね。
M:ははは。絵面の問題で。整合性がないと。
巨:ロケハンした時、寒かったもんな。
M:巨匠がロケハンしたんですか。
巨:一緒に行った。全部じゃないけど。だから、秋かな再開は。というか、キャスティングミスがあるからな、あの作品は。一カ所だけ。
M:どこですか。
巨:主役のサーモン鮭山だけが、どうしてもミスキャストなのよ。監督主演をやってみたかったらしいのよ。
M:願望先行の映画なわけですか。
巨:本人は「違う」って言うかもしれんけど。笑えることは確か。まあ、あくまでそれは他人の作品やから「うまくいけばいいな」ぐらいで。
M:でも、プロデューサーってことはジブリ作品でいう鈴木さんの位地にいるわけでしょう。
巨:とにかく『zoku』はアフレコ終わってるし、曲も全部ついているし、完全に完成しているから。
M:公開してください。
巨:あとは見せるだけ。
M:ユーロスペースで。

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巨:話変わるけどね、俺ね、続けることって、すごい重要だと思ってるのよ。目標以外に、どれだけ目標を持ってるかが勝因だと思うわけ。
M:どういう意味です?
巨:例えば、映画撮るとか、絵を描くとか、役者になるとか、芸人になるとか、何でもいいんやけど。そういう目標以外の目標をいくつ持てるかで、人間としてのキャパが広がると思うわけよ。それがないと、あまり、うまくいかないんじゃないかと。ちょっとしたことでパニくるわけよ。
M:一つのことに集中する美学っていうのもありますけどね。
巨:そういうのもあるけどね。たしかに、自分も映像ばっかりやってるしね。映画屋だから。ちなみに、俺が今イチバン頑張ってるのが、毎日サプリメントを飲み続けられるか。寝る前にちゃんとサプリを飲み続けられるか。
M:何すかそれ。やってるんですか。
巨:やってる、やってる。マルチビタミン。これね、忘れるのよ。なかなか三百六十五日はいかないよ。忘れるもん。
M:どうすか体調は。
巨:ははは。体調は関係ないわ。続けられるかが問題やわ。やり続けることが。これね、サボるのよ。一週間に一回サボるから。やる理由がないから。
M:むずかしいですか。
巨:むずかしいのよ。
M:それでいいんですか、目標の話のまとめは。
巨:これね、本当に重要なのよ。これまで生きてきて、クリエイティブなことをやり続けてきた経験から言うと。
M:何が重要なんですか。
巨:これがね、自信になるのよ。皆ね、おかしいのよ。自信っていうものをね、例えば映画だったら、映画に自信を求めようとしたらダメなのよ。音楽で自信をつけたいから、音楽ばっかりやってるのはリスキーやねん。本当に映画だったり音楽だったりで自信つけたいんだったら、他のことで自信つけたらええねん。
M:で、今はサプリで自信つけてるんですか。
巨:そう。手っ取りばやく、自信つけたいやんか。「俺、一週間のうち六日間サプリを飲み続けられるもん」って言えるやん。
M:サプリじゃなくて、ハチミツキンカンのど飴でもいいんですか。
巨:問題ないよ。
M:ハチミツキンカンのど飴なら、分かりますよ。サプリは微妙に身体に良いから、いやらしいんですよ。
巨:ははは。なるほどね。俺も大人になったから、どうせやるなら健康に良いものがいいかなって。
M:映画は観てないんですか。
巨:あまり観てないなあ。『ピーナッツ』とか。
M:ウッチャンの。
巨:映画学校の先輩やからね。
M:先輩なんですか。んじゃ、出川も。
巨:そう。入江雅人も。でも、映画もな……、俺は映画が観るのが好きなんじゃなくて、映画を作るのが好きやねん。
M:参考にしないですか。
巨:あまりしないな。ああ、『太陽』が観たいな。
M:どんなのですか。
巨:天皇の話。
M:誰がヒロヒトやるんです。
巨:イッセー尾形。
M:俺はあれが観たいですね、黒木監督(*1)の。なんだってけな。
巨:かみやえつこ(*2)?
M:ああ、そうそう。
巨:俺も観にいくわ。黒木さん、遺作やからなあ。『M:I:Ⅲ』も見たいな。
M:何気にロングヒットしてますよね。
巨:俺は『M:I:Ⅵ』あたりを監督したいわ。

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(*1)黒木監督:黒木和雄監督。
(*2)かみやえつこ:黒木監督の遺作『紙屋悦子の青春』。http://www.pal-ep.com/kamietsu/





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> 『とりあえず試写会を』(巨匠:06/01/19)
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maki abramovic(以下M):正月は何してたんですか。
巨匠(以下巨):正月は一陽来福のお札を貼らないといけなかったから、家に。
M:何ライフクでしたっけ?
巨:一陽来福。あれね、十二時になる瞬間に貼らないといけない。だから、ナイナイ観ながら、十二時ちょうどに。
M:毎年やってるんですか。
巨:今年初めて。
M:あたかも、恒例行事のような言いぶりでしたよ。
巨:はは。それが、ちょうど早稲田の穴八幡なのよ。近いからいいし。その穴八幡ってのは経済の神様っぽくて、お金の神様なんやって。
M:今日は何してたんです。
巨:今日はオヤジが来てて。出張で。うちのオヤジも社長やから。
M:何やられてるんです。
巨:クスリ屋。
M:薬局?
巨:いや、問屋。病院とかに。
M:金持ちなわけですね。
巨:いや、問屋やから、利益率低いやん。二、三パーセントやん。だから百億売っても、二、三億やろ。
M:要するに、金持ちなわけですね。
巨:はは。そやね。人の不幸で飯食ってる。で、午前中会って、昼飯食いながら話そうかって。その後、早稲田の事務所で打ち合わせがあったから。
M:何の打ち合わせ?
巨:次の仕事の。VPを撮るから、その打ち合わせで。その後は新宿で別件。明日がさ、『zoku』の追撮なのよ。
M:え、追撮するんですか。
巨:そ、ちょっと残ってて。まあ、言っても一、二時間ぐらいの。欲しいなっていうのを撮るだけで。その後、アフレコで終わり。明日で終わり。編集も九割くらい終わってるから。それをはめ込めば。
M:じゃあ、十二月にずいぶん作業が進んだわけですか。
巨:そう、本当は年内に終わらせたかったんだけど、役者のセリフが合わなくて。とりあえず試写会を、四月の三週目か四週目。八丁堀のリトルシアターで。それは身内と、後は協賛を募るために多くの方々に来てもらって。
M:シャッチョさんたちに。
巨:そう。
M:シャッチョさん、シシャカイジョ、コッチデスヨって。
巨:それを二日やろうと思って。あれ、狭いのよ、リトルシアターって言うぐらいだから。四十席くらい、四十弱くらいかな、補助席入れて。だから、六十人くらいか。後はボランティアで宣伝活動してくれる人がいれば、その人たちも招待して、タダで見せる、と。その後、どっかで。ちょうど知り合いが配給会社で働いてるから、そこにも持っていこうかなって。今のところ、順調と言えば順調やね。
M:ガス・ヴァン・サントがまた面白いの撮ったみたいですよ。『エレファント』路線で。
巨:最近映画観てないんよね。今日観ようかなって思ったんだけど。
M:『SAYURI』観ました?
巨:『SAYURI』観た。
M:どうでした。
巨:くそ。みそくそ。
M:あの終わり方が?
巨:終わり方云々はいいんやけど、もう、最初の十分で寝ようと思ったもん。まず、何がイチバン腹立つかって言ったら、媚びすぎ、日本人役者がハリウッドに。もうそれが腹立った。おまえら媚びすぎ、って。日本人として恥ずかしくないのかって。
M:役所広司がね。
巨:くそや。くそ役者や。
M:英語へただし、他に演技で何か出来たわけでもなく。
巨:誰もあれ理解できないって言ってたよ、あの英語。何言ってるか分からないって。『SAYURI』のこと思い出すだけでも腹立つよ、俺は。
M:俺も驚きましたよ、あのオチ。
巨:誰やったっけ、監督。
M:ロブ・マーシャル。
巨:『シカゴ』や『シカゴ』。
M:『シカゴ』は好きですよ。『SAYURI』もミュージカルにしちゃえば良かったんですよ、どうせなら。
巨:まずタイトルがダメやろ。『SAYURI』にした時点で終わってる。まず、あれ舞台が京都やん。一応、京都やろ。あれを京都としないんで見るんやったら、まだええわ。パラレル・ワールド的なものとしてね。
M:火星とか。
巨:こりん星とかね。
M:俺はそうとしか見られなかったですよ。ミヤコって言われても。
巨:だけど、あのロブ・マーシャルっていう馬鹿監督がさ、俺って日本分かってるんだよっていうのが鼻につくやん。
M:よく調べてありますからね。
巨:俺、日本詳しいよっていうのが、ものすごく鼻について。でも、まったく分かってないぞって。去年のワーストワンや。今日は『博士の愛した数式』を観ようと思って。
M:『阿弥陀堂だより』よかったですもんね。
巨:小泉さん(*1)はいい映画撮る。さすが黒沢に教育されただけのことはある。
M:『雨あがる』もそう。落ち着いてますよ。現代人に阿ってなくて。
巨:『雨あがる』なんて侍の話やん。なのにチャンバラがなかったやん。だから、それがビックリした。その時点で勝ちや。もしかしたら、脚本はもっと先があったのかもしれないけど。
M:一応、達人の話ではありましたけどね。
巨:『有頂天ホテル』もちょっと観たい。
M:俺は三谷幸喜が嫌いなんですけど、あそこまでバカを徹底されると面白そうですよね。
巨:でも役所広司が出てるからさ、なんかね。
M:いや、役所広司は大丈夫ですよ、日本映画は。
巨:でも、『SAYURI』であんなことやられたらさ。俺、役所広司は好きやったのよ? でもさ、『SAYURI』であんなことやられるとさ、嫌いになるよね。
M:真田広之なら違った気がする。
巨:一緒やって。三船敏郎なら違った。
M:出ますかね、あの脚本で、三船が。
巨:出ないかも分からん。
M:メチャクチャですよ。日本が舞台で、ずっと英語で芝居するじゃないですか。で、アメリカ人が登場すると、齟齬が発生するはずじゃないですか。なのに、無視して普通に英語で会話が続いてしまう。
巨:すごいよな。本当、パラレル・ワールドや。
M:やっちゃいけないことを、一つずつ丁寧にやっていった感じですよ。
巨:はは。
M:『zoku』の後は、何するか、もう決めてるんですか。
巨:決めてる、決めてる。いつ撮り始めるかも。
M:夏くらいからですか。
巨:夏前からかな。でも、その前に鮭山くんが一本撮るのよ。十年ぶりくらいに。知らないけど、俺、プロデューサーらしいわ。
M:サーモンさんは、映画人であることを世に知らしめるわけですよね、改めて。二人とも、今年は何かと動きのある年でいいですね。
巨:そうね。去年は何やってたかな。ああ、仕事ばっかりしてたのよ。作品撮りはしてなかったけど。今年は占い的にも運気がいい年なのよ。
M:じゃあ、クボタ・ショックを起こしてもらいたいですね。いい意味で。ライブドア、最低ですからね。
巨:でも、ホリエモンもかわいそうよね。あんなん、絶対亀井が仕向けてるんやって。元警察官僚やもの。
M:そうかもしれないですね。面白いけど。最近ってネタがないニュースっていうのは流されてしまいますよね。
巨:なるほどね。
M:だってこないだ判決あった宮崎勤の事件なんて、インパクト薄いですもんね。
巨:薄かったね。もう慣れたんやろね。
M:あの事件の後、我々はストーカーブームと酒鬼薔薇ブームを通り過ぎ、免疫がついてるわけですから。宮崎勤なんて、ああ、こんな人いるよね、っていう感じで終わり。
巨:統計的にはさ、四、五十年前に比べて、日本は性犯罪減ってるのよ? ただマスメディアが盛んになって、いっぱいあるって感じるだけで。
M:イジメ問題でそれをよく考えますね。昔のイジメの方がよっぽどエゲツないに決まってますもんね。
巨:ああ、エゲツない、エゲツない。かわいいもんや、今のなんて。イジメ問題は絶対に映画にしてやる。
M:やるんですか。
巨:もう脚本も半分くらいできてる。あのね、ちょっとエグすぎて途中でやめてるんだけど。

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(*1)小泉さん:小泉堯史監督。





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